研究課題/領域番号 |
15H03893
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
磯野 吉正 神戸大学, 工学研究科, 教授 (20257819)
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研究分担者 |
菅野 公二 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20372568)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 実験ナノメカニクス / マルチフィジックス / 半導体ナノ細線 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、"半導体ナノ細線のElastic Strain Engineering"に基づいた超小型機械量センサの実現を目指して、『ナノ細線集積MEMS歪み制御デバイス』の開発するとともに、同デバイスによって巨大弾性歪みの下でのSiCナノ細線のナノメカニクス特性および電気伝導現象を解明することである。研究期間全般を通して得られた研究成果を以下に示す。 (1)VLS成長させたSiOx被覆SiCナノ細線(C/S-SiCNW)と、蒸気フッ酸プロセスによりC/S-SiCNWのSiOx被覆を除去した3C-SiCNWコアのTEM観察の結果、C/S-SiCNWは直径 20-50 nmの結晶質の3C-SiCNWコアと、それを覆う厚さ 30-50 nmの非晶質のSiOxで構成されていた。また、ほとんどの3C-SiCNWコアは結晶方位<111>方向に沿って成長した3C-SiC構造であるが、積層欠陥により生じる六方晶SiCが3C-SiCNWコアの一部領域で見られた。 (2)新開発デバイスを用いた引張試験により、C/S-SiCNWの平均ヤング率および破断強度はそれぞれ215、7.0GPaであった。3C-SiCNWコアの平均ヤング率および破断強度はそれぞれ502.3、22.4GPaであり、SiOx被覆の有無による破断強度の変化および3C-SiCNWコアの大きなヤング率が確認できた。また、3C-SiCNWコアのヤング率のばらつきは、積層欠陥およびそれにより生じる六方晶SiCに起因していることが示された。 (3)I-V計測を引張試験と同時に実施した結果、C/S-SiCNWの巨大歪み下でのピエゾ抵抗効果を明らかにし、同NWがn型半導体と同様の振る舞いをすることを解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第二年度の実験計画は平成28年12月の段階で概ね達成できた。ただし、実験結果を更に理解するための新規課題が見つかったため、計画当初で考慮していなかった新たな追加実験を実施する運びとなった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、C/S-SiCNWと3C-SiCNWコアの巨大弾性歪み下での歪み誘起電気伝導特性(ピエゾ抵抗特性)について定量評価し、ワイヤ表面電位が巨大歪み下でのワイヤ内部の電子移動度に及ぼす影響を実験的に解明する。
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