研究課題
金属間化合物は,軽量で耐食性や耐摩耗性に加えて耐熱性にも優れるが,靱性や延性に乏しく脆いため,バルク材を部品形状に機械加工して利用することは困難である.本研究では,この金属間化合物を鋼の表面に被覆する手法として,申請者らが開発した高周波誘導加熱微粒子ピーニング(AIH-FPP)処理に着目して研究を行った.以下に得られた成果をまとめる.(1) 基材をチタンおよびチタン合金として,その表面に対して種々の粒子を投射して,金属間化合物を創成することを試みた.たとえばFeとAlを複合化した粒子を用いたAIH-FPP処理により,基材表面に厚さ数ミクロンの投射粒子の移着層が形成されることが明らかとなった.さらに750℃で粒子投射後,900℃に昇温し保持することで,投射粒子成分のAlが基材へ,基材のTiが移着層へ相互拡散し, Ti-Al金属間化合物を含む10ミクロン程のAl成分の拡散層が形成される可能性が示された.(2)耐酸化性,耐摩耗性など優れた特性を持ち,比較的共晶点の高いTi-Al金属間化合物に着目し,AIH-FPP処理を用いて炭素鋼表面に均質な化合物被膜を創成することを試みた.さらに創成された被膜に対して,往復摺動摩擦摩耗試験を行うことで,被膜の耐摩耗性について検討・考察を加えた.摩擦摩耗試験後は摩耗痕をSEMにより観察し,摩耗の状況について詳細に調べた.その結果,耐摩耗性に優れた表面が創成されることが明らかとなった.(3)粒子投射時の燃焼合成反応により,金属間化合物層が創成されるメカニズムを提案し,それによりすべての実験結果が矛盾なく説明されることをしめした.ここには一例を示したが,3年間の成果により,投射粒子や処理条件の制御により,様々な金属間化合物層の創成が可能となることが示された.これらの層は高温酸化特性にも優れることから,実用部材への応用も期待される,
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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