研究課題/領域番号 |
15H03904
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
柿沼 康弘 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70407146)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 工作機械 / プロセス監視 / オブザーバ / 知能化 |
研究実績の概要 |
本研究では,ボールねじ駆動のNC工作機械におけるサステイナブルな異常加工監視を実現するために,多慣性モデルに基づく状態融合外乱オブザーバを全駆動軸に搭載し,各軸から得られる推定加工力を3次元空間で統合することで高精度なセンサレス加工力推定技術を確立する.平成27年度は, サーボ入出力情報と内部情報を用いた状態融合外乱オブザーバによるボールねじ駆動ステージのための高精度・広帯域なセンサレス加工力推定技術の開発を目標とした.具体的には,①ボールねじを多慣性系でモデル化し,各要素のダイナミクスを用いた状態融合外乱オブザーバの提案と有効性の検証②1軸フルクローズド制御ボールねじ駆動ステージを用いた状態融合外乱オブザーバの性能評価を行った.①に関して,フルクローズド制御ボールねじ駆動ステージを回転系と並進系の2慣性系でモデル化し,サーボ情報として利用可能なモータ電流,ステージ位置,モータ角度の3つの情報を用いて構築した状態融合外乱オブザーバを提案し,従来の外乱オブザーバと比較評価した.シミュレーションにより,状態融合外乱オブザーバは共振点近傍でも高精度に加工負荷を推定できるといった優位性があることを確認した.②に関して,①で構築した状態融合外乱オブザーバを1軸フルクローズド制御ボールねじ駆動ステージに組み込み,圧電式力センサを用いて加工力の推定精度と推定帯域を実験的に評価した.その結果,帯域が350Hzまでは,5N以下の誤差で加工力を推定可能であることを確認した.オブザーバゲインを高めることで,加工力の推定精度は低下するが,2kHzまでの加工状態監視は可能であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度計画した研究目標は十分に達成され,平成28年度に計画している3軸加工機の設計・製作も完了した.企業の協力のもと,実加工機に状態融合外乱オブザーバを搭載しての試験も実施し,加工状態監視技術へ展開できる可能性も確認した.また,状態融合外乱オブザーバに関する研究成果は,学術誌(国際誌)に掲載が決定した.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画は順調に進んでおり,引き続き計画変更せずに進める.平成28年度は,推定加工力情報の帯域別統合による広帯域化が目標となる.
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