研究課題/領域番号 |
15H03914
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
早瀬 敏幸 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30135313)
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研究分担者 |
西條 芳文 東北大学, 医工学研究科, 教授 (00292277)
下山 幸治 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (80447185)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | バイオ流体力学 / 計測融合シミュレーション |
研究実績の概要 |
血管表面の内皮細胞の損傷は、動脈硬化や動脈瘤などの血管病変の発症の引き金になることが指摘されているが、その機序は未だ十分に理解されていない。本研究は、超音波計測と数値計算の融合解析手法を用いて、内皮細胞を培養した実験流路内に血管疾患の好発部位である頸動脈の血管壁近傍流れ場と圧力場を再現し、内皮細胞の損傷実験と超音波計測融合血流解析を行って、これまで未知であった生体内の血流場が内皮細胞損傷に与える影響を解明することにより、血管疾患の発症に対する内皮細胞近傍場の流体力学的寄与の正確な理解に基づく診断法の確立に貢献することを目的とする。 平成27年度の研究では、臨床応用を考慮し、2次元超音波計測融合血流解析システムを用いて実験を行った。本システムにより、ヒト頸動脈血管壁近傍の血流速度場を解析した。計測は、大学内のボランティアを募り、東北大学流体科学研究所倫理委員会の承認を得た上で行った。超音波プローブにより2次元血管断面形状と血流の超音波ビーム方向速度成分の時空間分布が計測でき、これらを流体解析にフィードバックすることにより血流場を再現した。通常のシミュレーションとの比較により、超音波計測融合シミュレーションの優位性を定量的に明らかにすることができた。本システムにより超音波計測から求めた血管変形を高精度に再現可能であることが示された。本研究成果を基に最高血圧と最低血圧に対応する静圧の変化を再現するための予備的結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動脈硬化や動脈瘤などの血管病変の発症の引き金になる血管表面の内皮細胞の損傷の機序は未だ十分に理解されていない。本研究は、超音波計測と数値計算の融合解析手法を用いて、内皮細胞を培養した実験流路内に血管疾患の好発部位である頸動脈の血管壁近傍流れ場と圧力場を再現し、内皮細胞の損傷実験と超音波計測融合血流解析を行って、これまで未知であった生体内の血流場が内皮細胞損傷に与える影響を解明することにより、血管疾患の発症に対する内皮細胞近傍場の流体力学的寄与の正確な理解に基づく診断法の確立に貢献することを目的とする。 平成27年度の研究では、臨床応用を考慮し、2次元超音波計測融合血流解析システムを用いて実験を行い、ヒト頸動脈血管壁近傍の血流速度場の構造を明らかにした。計測は、大学内のボランティアを募り、東北大学流体科学研究所倫理委員会の承認を得た上で行った。超音波プローブにより2次元血管断面形状と血流の超音波ビーム方向速度成分の時空間分布が計測でき、これらを流体解析にフィードバックすることにより血流場を再現した。通常のシミュレーションとの比較により、超音波計測融合シミュレーションの優位性を定量的に明らかにすることができた。本システムにより超音波計測から求めた血管変形をもとに最高血圧と最低血圧に対応する静圧の変化も再現するための予備的結果がえられたことから、2次元超音波計測融合血流解析システムによるヒト頸動脈血管壁近傍の血流速度場の解明に関しては、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き、臨床応用を考慮し、2次元超音波計測融合血流解析システムを用いて実験を行う。本システムにより、ヒト頸動脈血管壁近傍の血流速度場と血圧場を解析する。超音波プローブにより2次元血管断面形状と血流の超音波ビーム方向速度成分の時空間分布が計測でき、これらを流体構造連成解析にフィードバックすることにより血流場と血圧場を再現する。本システムでは超音波計測から求めた血管変形をもとに最高血圧と最低血圧に対応する静圧の変化も再現することができる。 頸動脈血管壁近傍の血流場を再現した実験流路内の血流の超音波計測融合解析と培養内皮細胞の損傷実験を行う。分岐や曲りなどの複雑な形状を有する頸動脈内の非定常血流場における血管壁近傍の流れ場を局所的に再現する実験流路を用いる。通常の平行平板間流路に対して流れに角度をもって流入する第2の流路を追加することにより血管壁近傍の流れを再現する。実験に当たって実験流路内の流れ場の超音波計測融合解析を実施することにより、正確に血管壁近傍の流れ場を再現する。 以上より、内皮細胞損傷を引き起こす血管壁近傍血流場の流体力学的な発生メカニズムを明らかにする。実験流路内の内皮細胞損傷実験の結果より、内皮の損傷を引き起こす流れ場の構造を明らかにするとともに、対応する頸動脈内の超音波計測融合血流解析により、血管形状や脈波によって、壁近傍の流れ場が生ずる流体力学的なメカニズムを明らかにする。これらの知見を基に、血管内皮損傷を与える流れの発生メカニズムを明らかにするとともに、血管疾患に対する流体力学的寄与の正確な理解に基づく診断法について検討する。
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