超流動乱流中の微細粒子を可視化するため、撮影カメラの光学系の改良をおこなった。また、微粒子を生成するための装置と粒子播種の方法を試行することで、数ミクロン程度の微細粒子を生成することができた。撮影された画像粒子は、ミー散乱の影響で過大評価されているため、事前に粒子径分布が既知の粒子を同じ体系で計測することで、散乱の影響を除去して、真の粒子径を算出できる方法を確立した。 微粒子のラグランジュ軌道は。画像処理により算出する。昨年度までのプログラムでは、粒子径を算出する際に境界形状をバックグランドから正確に区別できなかったため、エッジ検出の判定基準の見直しをおこなった。これにより、3時刻以上の粒子を検出できる割合が向上し、粒子径分布の計算が文献値として既知の分布と一致するようになった。超流動場の温度は、これまで1.9Kから下げる際には数時間を要したため、播種した粒子が凝集してしまう問題があった。この点を改善するために、減圧系ポンプを増設することと排気系を改良することで、1.7Kまで短時間で達することが可能となった。 上記の実験体系および解析プログラムの改良により、超流動乱流場の微細粒子のラグランジュ軌道の撮影をおこなった。粒子軌道に沿った速度構造関数を計算することで、そのべき指数を算出ることができた。このべき指数は、ラグランジュスペクトルのべき指数と等価である。粒子径によりこのべき指数は異なることが明らかとなった。また、粒子速度と加速度の確率密度関数から、常流動成分と超流動成分の割合が大きく影響することが明らかとなった。
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