研究課題/領域番号 |
15H03926
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鹿園 直毅 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30345087)
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研究分担者 |
谷口 淳 東京理科大学, 基礎工学部電子応用工学科, 教授 (40318225)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 燃料電池 |
研究実績の概要 |
混合導電性酸化物であるLSCFおよびLSCに対して,高いイオン伝導性を示す酸化物であるGDCを混ぜた場合の性能評価および電極構造解析を行った.異なる体積分率のLSCF-GDCおよびLSC-GDCコンポジット電極を作製し,性能評価を行った結果,過電圧および分極抵抗はLSCF-GDCとLSC-GDCのいずれの場合でも,体積分率が30:70,vol. %で最も低くなること,つまり最も性能が高くなるということが明らかになった.FIB-SEMを用いて電極の微細構造を再構築し,微細構造構造パラメータを算出した.表面反応に寄与するLSCFあるいはLSCの表面積は30:70,vol. %の体積分率では減少することから,LSCF-GDCおよびLSCーGDCコンポジット電極は表面反応に加えて,三相界面反応の両反応が性能に寄与することが考えられる.GDC電解質表面に微細な凹凸を設けた場合の効果について,格子ボルツマン法による数値シミュレーションコードを作成した.本ツールを用いることで混合伝導性酸化物とイオン伝導性酸化物コンポジット電極構造の系統的なパラメータサーベイ評価が可能になった.混合伝導性酸化物を用いた場合でも三相界面を増加させること,そして反応有効厚みを増加させることが性能向上には有効であるということを確認した.一方,GDC電解質上への微細凹凸加工についても,モールド作成条件を系統的に評価した.今後,電解質上に設ける凹凸形状や,充填する粒子径や体積分率等を系統的に変化させたパラメータサーベイイを実施する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
混合伝導性酸化物とイオン伝導性酸化物コンポジット電極の実験及び数値計算を実施しており,反応機構の解明が進んできている.また,それを用いた数値実験により混合伝導性酸化物とイオン伝導性酸化物コンポジット電極の系統的なパラメータサーベイ評価が可能になりつつある.一方,GDC電解質上への微細凹凸加工についても,モールド作成条件を系統的に評価しており,着実に凹凸のピッチや高さをコントロールできるようになってきた.以上からおおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
混合伝導性酸化物とイオン伝導性酸化物コンポジット化することが,実際に高性能化への効果が高いことが実証できた.今後は,長期安定性の評価を実施するとともに,数値計算から得られた情報をもとに,電解質上に設ける微細凹凸の最適化や粒子径の最適化を行う予定である.
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