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2016 年度 実績報告書

火炎と壁面の熱的・化学的干渉機構の解明と制御

研究課題

研究課題/領域番号 15H03927
研究機関東京大学

研究代表者

鈴木 雄二  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80222066)

研究分担者 范 勇  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (40748662)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード燃焼 / 壁面効果 / 表面反応 / LIF / weak flame / 冷炎 / 化学吸着
研究実績の概要

本研究では,壁近傍の燃焼機構を,PLIF計測および数値解析を用いて詳細に検討し,火炎と壁面の熱的・化学的な干渉効果の物理現象を明らかにし,それを制御することを目的としている.
第2年度は,まず,TALIF(2光子吸収LIF)を用いたH原子の計測系を構築した.Dual Wave Plateと2種類のBBO結晶を用いた光学系により,色素レーザー出口の615nmから205nmへの変換効率を従来の4倍以上に相当する8.6%に向上させることに成功した.また,それを用いた平行平板間のメタン火炎の計測により,壁温が800℃以上ではH原子も壁面近傍で大きく減少することを明らかにした.そして,数値解析を用いた感度解析から,OH原子よりもH原子の方が熱炎での化学的効果に影響が大きいことを示した.また,プラズマ放電によりH原子ビームを発生させ,高真空中での壁面散乱を計測して,初期吸着計測を算出し,LIF計測結果との関係について検討を進めている.
さらに,流れ方向に温度分布を印加した石英流路(流路幅1.5mm)内に形成される火炎を,PLIFおよびGC-MSを用いて計測し,壁面の化学的効果について定量的データを取得した.壁面としては,活性度が低いと考えられる石英,熱炎で比較的大きな化学的効果があることが明らかになったSiC,およびSUS321を用いた.その結果,DME・空気のWeak flameの冷炎領域において,石英およびSiC壁上のDME, CO, CO2の流れ方向分布は同様であるのに対し,SUS321ではいずれも流れ方向下流にシフトし,DMEでは一旦下がった後にやや上昇するという特異的な分布が現れることを明らかにした.そして,従来の吸着モデルでは再現できないこと,HCHOの吸着,DMEの再生成を仮定したモデルが考えられ,その検証にはHCHO,CH3OHの計測が今後重要であることを示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計測については,1.5mm幅流路におけるOH,HCHO,H原子のLIF計測手法を構築した.熱炎に対しては,アルミナ,石英,SiC,SUS321の順で化学的効果が強くなることが本研究の計測から明らかになった.冷炎に対しては,Weak flameにおけるHCHO-PLIF計測およびGC-MS計測を行い,初めて定量的な情報を明らかにし,特にSUS321での特異的な化学的効果を示すなど,極めて興味深い成果も得られている.また,数値計算,およびモデリングについても,カールスルーエ大学のO. Deutchmann教授の研究室に博士課程の学生を指導委託という形で派遣して検討を進めた.さらに,プリンストン大学のY. Ju教授の研究室に博士課程の学生を6ヶ月派遣して,Head on Quenchingの場合の壁面の化学的効果を検証するための実験について,数値解析により実現可能性を確認した.全体として,研究計画は順調に進行していると考えている

今後の研究の推進方策

最終年度は,まず,冷炎においてステンレス壁面で生じる特異的な化学的効果について表面反応のモデル構築に取り組む.また,壁面により安定化された冷炎の実験系を構築して,その状況における化学的効果について検討を行う.そして,計測結果,モデルを用いた計算結果の両面から,表面の化学的効果のメカニズム解明を目指す.最後に,これまでに得られた,熱炎および冷炎での化学的効果を総括し,統一的な理解とその制御の可能性について検討を進める.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] カールスルーエ工科大学(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      カールスルーエ工科大学
    • 他の機関数
      1
  • [国際共同研究] プリンストン大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      プリンストン大学
    • 他の機関数
      1
  • [国際共同研究]

    • 他の国数
      2
  • [学会発表] HCHO-PLIF Measurement of DME Weak Flame for Wall Chemical Effect Study2016

    • 著者名/発表者名
      Wan, S., Fan, Y., Maruta, K., and Suzuki, Y.,
    • 学会等名
      第54回燃焼シンポジウム
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-11-23 – 2016-11-25
  • [学会発表] 2光子吸収レーザー誘起蛍光法を用いた壁面の化学的消炎における水素吸着の影響評価2016

    • 著者名/発表者名
      范 勇, サナル サンギース、斎木 悠,鈴木 雄二
    • 学会等名
      日本機械学会熱工学コンファレンス2016
    • 発表場所
      愛媛大学(愛媛県松山市)
    • 年月日
      2016-10-22 – 2016-10-23
  • [学会発表] Investigation of Wall Chemical Effect on DME Weak Flame in a Rectangular Micro Channel with a Streamwise Temperature Gradient2016

    • 著者名/発表者名
      Wan, S., Fan, Y., Maruta, K., and Suzuki, Y.,
    • 学会等名
      36th Int. Symp. Combustion (Combustion 2016)
    • 発表場所
      Seoul (Korea)
    • 年月日
      2016-07-31 – 2016-08-05
    • 国際学会
  • [学会発表] Investigation of Wall Chemical Effect on DME/air Weak Flame by HCHO-PLIF2016

    • 著者名/発表者名
      Wan, S., Fan, Y., Saiki, Y., Maruta, K., and Suzuki, Y.,
    • 学会等名
      第52回日本伝熱シンポジウム
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2016-05-24 – 2016-05-26

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-02-01  

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