研究課題/領域番号 |
15H03928
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
森 昌司 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10377088)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 沸騰 / 限界熱流束 / 限界熱流束向上 / ハニカム多孔質体 |
研究実績の概要 |
超高熱流束除熱の達成に向けて、H27年度は ハニカム多孔体を用いたプール飽和沸騰のCHF向上メカニズムについて検討を行った。具体的には、CHF向上に寄与する素過程に分離した実験による寄与率の定量化およびCHF発生箇所について検討を行った。H27年度の研究成果をまとめると以下の通りである。 ○CHF向上に寄与する素過程に分離した実験による寄与率の定量化 ・ハニカム多孔質体による伝熱面への液体供給は、毛管力により伝熱面に液体が供給される効果および蒸気排出孔への液体の直接流入効果の2つの素過程があるが、その寄与割合は、不明である。さらなるCHF向上を狙うため、素過程に切り分けた要素実験を行い、どちらが律速になっているのかを定量的に明確にするする必要があり。そこで、その両者を分離可能な実験装置を製作し、検討を行った。その結果、毛管力による液体供給効果抽出の実験結果を提案する毛管限界モデルにより、よく説明できることが明らかとなった。一方、セル内部への液体供給量を測定した。伝熱面熱流束を大きくするほどセルへの液体供給量は減少する傾向が得られた。これらの実験結果を統合し、毛管力による液供給とセルへの液供給をどちらも考慮したq”CHF,予測モデルを提案した。 ○CHF発生箇所およびハニカム幾何形状がCHFに与える影響 CHF発生箇所を特定するためにITO膜を石英ガラス上にコーティングした透明発熱面を製作し、ハニカム多孔体を設置した状態で裏面(底部)から高速度赤外線サーモグラフィにより計測した。その結果、飽和プール沸騰(水)においてCHFに至る時々刻々の変化が明らかになり、ハニカム多孔体を設置した場合、多孔質体と伝熱面の接触部が予想に反して一番温度が高くなると言う結果を得た。この結果について、より慎重に検討を重ね、CHF発生メカニズムについて次年度以降より詳細に検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書通りおおむね順調に進展している。一方、CHF発生箇所を特定するためにITO膜を石英ガラス上にコーティングした透明発熱面を製作し、ハニカム多孔体を設置した状態で裏面(底部)から高速度赤外線サーモグラフィによりCHFに至る時々刻々の変化を計測したところ、ハニカム多孔体を設置した場合、多孔質体と伝熱面の接触部が予想に反して一番温度が高くなると言う結果を得た。この結果について、より慎重に検討を重ね、CHF発生メカニズムの解明、さらには、CHF向上の方策へつなげていけるように次年度以降より詳細に検討を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果より、ハニカム多孔質体によるCHF向上モデルが提案できたと考えている。次年度には、このモデルを用いて形状を最適化し、実際にハニカム多孔質体をオーダメードで製作し、CHF向上効果をさらに検証していく。
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