実現が期待されている魚卵の凍結保存を目的とし,卵膜の親水性を利用した液体メニスカスと凍害防御剤の卵内導入を組み合わせた新たな凍結保存法を提案し,メダカ卵を対象にその可能性を検証した. メニスカスにはトレハロース水溶液を用い,卵内凍結前に粥状に凍結して保護膜とした.また,卵内凍結による損傷を低減するために,グリセリン水溶液を二本のキャピラリー管を用いて置換注入する方法を開発した.その結果,解凍直後には卵膜を含め,卵内組織の保存が確認できた.しかし,解凍後1時間を経過すると組織変化が生じ,孵化を確認するまでには至らなかった.解凍後の迅速なグリセリン除去が今後の課題である.
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