研究課題
基盤研究(B)
固体表面付近に振動エネルギーが集中して伝わっていく弾性表面波(レイリー波)を用いた超音波モータの研究を行っている。弾性表面波基板には,ニオブ酸リチウム(128°回転Y板)をステータとして用いている。しかし,摩擦力で駆動をおこなう弾性表面波モータにおいては,ニオブ酸リチウムの耐摩耗性が問題となり,実用化する上での障害となっている。そこで,振動の励振にはニオブ酸リチウム素子をもちい,励振された振動をサファイア基板に接触伝搬させることで,耐摩耗性の高いサファイアを摩擦駆動面として用いる新しい振動子の構成について実験的に研究を行い,サファイア基板面にレイリー波を励振できることを示した。
超音波工学
サファイアと同じ組成であるアルミナ・セラミクスを摩擦材として実用化された超音波モータでは,動作距離10,000km(推定10,000時間)の寿命を実現している。アルミナ・セラミクスの単結晶材料であるサファイアを摩擦駆動部に用いることで高い耐久性が期待できる。振動発生部には,単結晶ニオブ酸リチウムを用いることで高いパワー密度を実現し,摩擦駆動部には,耐摩耗性と機械強度に優れた単結晶サファイアを用いることで高い耐久性を目指しているのが,本弾性表面波モータである。