研究課題/領域番号 |
15H03944
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
丸尾 昭二 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (00314047)
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研究分担者 |
前田 雄介 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50313036)
前川 卓 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (70361863)
廣田 誠 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (20347305)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高速プロトタイピング / 光造形 / 形状モデリング / 精密マニピュレーション / バイオセラミックス |
研究実績の概要 |
本研究では、マイクロ光造形・鋳型技術を用いて多彩なセラミックスブロック群を作製し、これらを3D 形状モデリングとロボット工学を駆使して最適構造に組み立てることで、3次元機能デバイスを作製する「3D マルチマテリアル・ブロックプリンティング技術」の開発を目指している。本年度は、上記の目的を達成するために、以下の研究項目を実施した。 バイオセラミックス製ブロックの作製では、密度の異なるブロックを作製するために、セラミックス微粒子と水、分散剤からなる高濃度スラリーに加える消失粒子を探索し、高分子微粒子(ポリウレタンやポリエチレンなど)を用いて、熱分析によって完全消失可能な微粒子を選定した。次に、この微粒子を用いて多孔質ブロックを作製する工程を検討し、マイクロ光造形によって作製した樹脂マスター鋳型から作製したシリコーン樹脂型に、微粒子を含有した高濃度スラリーを注入・乾燥した後に、高分子微粒子のみを消失させる実験を行った。その結果、遠心充填を行うことで、連通気孔を有するバイオセラミックス焼結体の作製に成功した。しかしながら、連通気孔の口径を制御することが困難であること、機械的強度が非常に弱いことなどの課題もあることがわかった。 ブロック組立システムの開発では、微小ブロックの自動組立に向けた基礎実験として、シリコーン樹脂鋳型によって複製した樹脂製ブロックを画像認識によって把持するロボットシステムを試作した。そして、実際に微小ブロックの把持に成功した。さらに、把持した微小ブロックの組立にも取り組んだ。ただし、ブロックの加工精度の問題から、正確な組立にまでは至らなかった。今後、微小ブロックの加工精度の向上し、微小ブロックの組立を実証する。また、3Dモデルから決定したブロック配置に応じて、ブロックを配置する最短経路を導出するアルゴリズムを開発し、ソフトウェアを試作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
密度の異なるブロック作製に関しては、消失するための高分子微粒子を決定し、多孔質セラミックス構造体を作製することができた。また、3Dモデルからブロック配列を決定し、それらを組み立てる際に時間を短縮するために、最短経路でブロックを組み立てる経路決定アルゴリズムを開発し、ソフトウェアを試作できた。さらに、画像フィードバックを用いて、微小セラミックスブロックを安定把持することにも成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
水系スラリーからなる多孔質バイオセラミックスブロックの機械的強度の向上法の1つとして、光硬化性樹脂とバイオセラミックスを混合した樹脂系スラリーを用いたバイオセラミックス微小ブロックの作製を検討する。また、同時に樹脂系スラリーを用いたバイオセラミックスの生体適合性評価も実施する。また、最短経路でブロックを組み立てる際に、オーバーハング形状など支えがないと組立が困難な部分をあらかじめ予想し、オーバーハング形状を支持するためのブロックを追加配置するアルゴズムを開発し、ソフトウェアを試作する。さらに、バイオセラミックス製微小ブロックの加工精度を向上し、ロボットシステムを用いた微小ブロックの自動組立を実証する。
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