研究課題
心疾患の治療法として、ヒト多能性幹細胞由来の心筋細胞移植による心機能回復が期待されている。しかし、従来の心筋分化誘導法では心筋分化効率が低く、また誘導された心筋細胞はまた未熟で、心筋細胞の向きがバラバラで配向されておらず筋収縮力が弱い、根本的に心筋細胞を成熟化する方法もない。このような細胞を用いて、ドラッグスクリーニングへの応用には困難である。一方、移植への応用について、未熟な細胞がよいという仮説もあるが、実際にまだ検証されていない。本研究課題では、申請者らが安全な生体分解性配向性ナノファイバーを用いて、3次元・配列性構造心筋組織片を構築に成功した。さらに電気刺激や、力トレニングなど物理的な手法を用いて心筋成熟度を促進する技術を確立した。その結果、従来の2D・ランタムの培養方法と比べて、明らかに3次元・配列した心筋組織片の電気生理学機能が高く、遺伝子レベルで成熟化を進んでいる。さらに、昨年度生体外において、配向性心筋組織片の移植効果を向上させる移植技術を確立した上に、実際に心筋梗塞モデルラットに移植実験を行った。その結果、心筋組織片の生着率が向上された。移植後の長期観察の結果、炎症反応が起こらず、心筋梗塞モデルラットでの心筋移植片による心機能改善効果を見られた。今後心筋梗塞の臨床治療とドラックスクリニングや薬剤応答の毒性実験への応用性に貢献できると期待している。本研究課題は当初の計画以上に進展して、H28年度まで、設定されたすべての目標を達成した。今年度まで本研究課題を終了することになる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 産業財産権 (1件)
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