研究課題
高齢者の歩行訓練では、歩行距離など量的指導が主流である。しかし、歩行には、量と質の両面がある。 歩行の質(歩幅距離や速度、床反力など)は直接に歩容へ反映する。歩容が悪くなると、転倒リスクが増える。本研究では、高齢者の歩容改善を大目的として、体幹姿勢と歩行の関係に着目し、歩行時の姿勢を可能な範囲で正しく矯正し、歩行の質を向上する歩行訓練器を開発し、臨床試験によりその有効性を検証する。本年度は、まず、推定された具体的な歩行意図に対して、乗り心地よく支援するための経路および軌道の生成法を開発した。次に、医療機関での臨床試験では、長走行距離訓練の安全性を確保するために、メカニカル的な機構精度と周囲環境計測精度を改善した。さらに20名の被験者(途中で脱落は一名)を対象として試験を行った。年齢の内訳は、20歳代7名(22―24歳:平均22.6歳)、50歳代4名(51―59歳:平均55.3歳)、60歳代3名(60-63歳:平均61.3歳)、70歳代6名(71-79歳:平均74.8歳)であった。以下に概要を述べる。これらの知見は、今後、体幹姿勢を矯正しながら、歩行訓練の重要なエビデンスになる。・20代の被験者試験では、姿勢を矯正することにより、床反力の垂直成分の変化があることを確認した。床反力の垂直成分の変化は歩行訓練速度にも依存することが見られた。また、体幹姿勢を同様に矯正する条件では、歩行方向および膝角度の違いによって、歩行時に使用される筋力は異なることが分かった。・50歳代~70歳代被験者試験では、1名の脱落者を除いた12名は全ての訓練を完遂し、訓練前後の評価が行えた。UP&GOテスト、距離と時間・歩隔距離、バランス能力において有意に改善された。更に「補正」傾斜(地面に対する体幹の角度)が、訓練前は5.1度、訓練後3.8度に、有意(P=0.0464)に改善していた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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