研究課題/領域番号 |
15H03959
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
大石 潔 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (40185187)
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研究分担者 |
和田 安弘 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (70293248)
横倉 勇希 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (70622364)
宮崎 敏昌 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90321413)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電気機器工学 / モーションコントロール / 制御工学 / パワーエレクトロニクス |
研究実績の概要 |
本研究の「安全で俊敏に仕事をするソフトロボット」において、最も難解な課題は「モータ軸情報のみでロボット関節軸側の加速度と反力を広帯域に制御すること」である。これを解決する。まず、摩擦とノイズの影響を受けない広帯域な電流制御と関節軸側加速度制御を、等価完全追従電流制御系・共分散拡張カルマンフィルタと摩擦フリーオブザーバの結合系・外乱オブザーバにより実現する。これにより零スチフネス制御構造とする。 本研究を3年間で完遂するために、各研究グループにおいて、「安全で俊敏に仕事をするソフトロボット」の開発のために必要な要素技術の開発とその実現に向けて、以下の目標で推進する。「安全で俊敏に仕事をするソフトロボット」の研究グループは、ロボット関節軸のモデル化を行い、モータ情報だけで、機械共振と摩擦の影響を受けないで関節軸加速度推定を行う「共分散カルマンフィルタと摩擦フリー状態オブザーバの結合系」を構成する。さらに、関節軸加速度の推定値フィードバックと加速度制御器に外乱オブザーバを結合して、広帯域関節軸加速度制御系を構成する。「広帯域力覚センシング」研究グループでは、モータ軸情報だけで、非線形摩擦補償・ギアとメカの共振振動抑制・位置センサノイズの影響を受けにくい構造の可変雑音共分散拡張カルマンフィルタと反力オブザーバの理論的及び実験的解析を行う。そして、ノイズと振動に対するロバスト性を持つ力覚センシング法を確立する。また、それをCPUで実装する。 「広帯域電流制御による力制御」研究グループでは、ロボット関節駆動用として、高効率低雑音のダイオードクランプ形リニア電力増幅器を高サンプリング周期でCPUによって実装する。これより、スイッチングノイズのない電力増幅器により10KHz応答の広帯域電流制御系を等価完全追従制御系で構成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、10KHz帯域力覚センシングによる力制御系と、等価完全追従制御による10KHz応答電流制御系と、共分散拡張カルマンフィルタによる関節軸加速度制御系を結合して、「関節軸加速度制御によるセンサレス力制御系」を設計し、構成する。力制御ループは、高いスチフネスの「位置制御と速度制御」を有しない。スチフネスが理想的には零の「電流制御と加速度制御と力制御」だけである。平成28年度は、現有のロボットの先端軸を対象して、本制御系を実験的に評価する。その前に、まず、2慣性共振系を有するサーボモータで実験的評価を行い、その後、現有ロボットの先端軸に実装することを目指す。提案法のスチフネスの性能評価は、実機実験でその有効性を検証する。VANC拡張カルマンフィルタと摩擦フリーオブザーバの予備実験は、ロボットの関節を対象する2慣性共振系に対して力制御で実施する。力行動作の際、加速度センサと提案法の結合系の推定値は一致した。そして、関節側に負荷トルクを加えた瞬間、提案法はノイズと振動を抑制して、数値解析とほぼ同じ波形で、加速度とトルクを良好に推定した。 提案法は当初はFPGAによって実装する予定であったが、FPGAでは大きなアルゴリズム量の計算能力が低いので、本制御系はCPUで実装する。そして、零スチフネス制御構造とセンサレス力制御系を実装し、実験評価と理論解析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、ロボット関節軸に、零スチフネス制御構造の関節軸加速度制御によるセンサレス力制御に基づく「安全で俊敏なソフトロボット」を完成させる予定である。
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