研究実績の概要 |
1.粒子形態の異なる電極活物質単結晶の合成および表面修飾 溶融塩合成法や水熱合成法により、合成条件を工夫することで各種電極材料の粒子形態制御が可能であることを確認した。特に前者の溶融塩合成では、特定結晶面で囲まれたLiMn2O4(LMO)正極材料やLi4Ti5O12(LTO)負極材料の3次元的多面体結晶合成に成功し、これら材料の単一粒子電気化学特性を明確化した。一方で、水熱合成法によって合成した2次元的平板状形態のオリビン型LiMnPO4(LMP), LiFePO4(LFP)においては、そのままの状態では材料の本質的低電子伝導性が災いして電気化学的活性に乏しかったものの、FIBを用いた炭素皮膜形成による表面改質を施しても期待した特性改善は得られなかった。この原因として、炭素皮膜が緻密で厚かったことが可能性として考えられ、今後はこの観点から表面修飾方法の最適化を図ることとした。 2.電極特性支配因子解明に向けた単一粒子測定 昨年度開発した密閉型3電極セルの利点を最大限に活用し、LTO単一粒子を対象活物質として、サイクリックボルタンメトリー,電気化学インピーダンス測定,定電流充放電サイクルなどの多種多様な電気化学特性評価手法を用いて、電流レート特性や温度依存性を各種電解液中で連続測定することに成功した。しかしながら、LTOの場合には電解液との反応によって表面被膜が生成し、その影響が電解液交換の度に蓄積することで特性劣化する現象が見られた。そのため、同等粒子径の別粒子を用いて電解液溶媒依存性を評価した。 3.電極材料の加速寿命評価条件の検討 次年度に体系的に行う予定の電極加速寿命評価に向けて、短期間でサイクル寿命が見通せる加速寿命評価試験条件として30C(2分で放電または充電が完了する電流レート)が適切であることが明らかとなった。
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