研究課題
本年度において、4H-SiC基板を熱酸化して30nm程度のSiO2膜を成長し、さらにその上に酸化インジウム(ITO)薄膜を透明ゲート電極として形成し、MOSキャパシタを作製した。その試料に対し、暗状態および紫外光(低圧水銀ランプ)照射後の容量-電圧特性を測定した。その結果、紫外光への応答を証する少数キャリア蓄積による反転層形成を確認した。また、CCD動作に不可欠な電荷輸送に関する原理検証を目指し、MOSキャパシタのアレイ化を試みた。アレイ化にはリソグラフィー技術を用いるため、その工程に必要なマスクパターンをCADで設計し、マスク作製業者に製作を依頼した。
3: やや遅れている
申請書の研究計画によれば、本年度までに「光応答の検証」、「MOSキャパシタのアレイ化」ついて完了しなければならなかった。しかし、MOSキャパシタのアレイ化の過程で透明電極の作製に不具合が生じたため、電気的特性が評価できなかった。研究遂行上この不具合の改善が不可欠であったことから、次年度にMOSキャパシタのアレイ化を追加実施、追加実施結果の評価を行う必要が生じた。しかし、この不具合は透明電極の密着性の問題であることが判明し、加熱処理などの対応策も既知であることから計画の遅れは今後取り戻せると思われる。
今後は、まずは昨年度にやり残した透明電極の特性改善を行う。具体的な方策として電極形成後の加熱処理や、あるいは電極材料の変更等を講じ、酸化膜との密着性を改善させる。続いて、再度MOSキャパシタのアレイ化を試み、電荷輸送の検証を行う。次年度の他の研究計画として、「3C-SiC基板を用いた可視光応答の検証」が挙げられる。これまで使用した4H-SiC基板と同様に3C-SiC基板上にMOSキャパシタを作製し、紫外光のみならず可視光への光応答を検証する。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
AIP Advances
巻: 5 ページ: 067128
10.1063 / 1.4922536
巻: 5 ページ: 127116
10.1063/1.4938126