SiC MOSFETのチャネル移動度は界面形成手法に強く影響される。本研究では,通常のドライ酸化の条件改善だけでは移動度が改善しないが,ドライ酸化後に水蒸気酸化(ウェット酸化)を僅かに加えるだけでSi面でのチャネル移動度が大幅に向上し,且つそれに必要な酸化量がたかだか1nm未満であることを発見した。最も効果的な移動度の改善には,水蒸気に酸素を僅かに添加した雰囲気中でより低温下で酸化が有効であった。SiC界面近傍の<2nmの領域のSiO2の赤外分光測定による解析から,ドライ酸化よりもウェット酸化の方がSiO2の構造歪みが低減されており,これが酸化膜中の欠陥準位の密度を低減する可能性が示唆された。
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