研究課題
研究項目を「超高純度結晶成長」と「ppbレベルでのドナー/アクセプタドーピング」の2つに分けて実施した。前者については、H28度までの装置改良と成長条件最適化により、残留不純物量は一般的な評価では検出限界以下となるレベルまで高純度化されていることが分かった。H29年度は単結晶ダイヤモンド厚膜結晶を作製し、ESRにより窒素量を直接評価することを実施した。まず0.8 mmのCVD厚膜を成長した。高純度ダイヤモンド膜の膜厚は高々50 μmであるのに対して、今回はその10倍以上の厚さとなるように成長を行った。成長後に下地基板と結晶周辺の非エピタキシャルダイヤモンドを除去し、高純度単結晶の部分のみ(サイズ:3×3×0.56 mm3)を取り出した。ESR評価から、今回得られたダイヤモンド自立結晶の窒素濃度は0.08ppb(1.4×1013 cm-3)と見積もられた。窒素がダイヤモンド中の主たる不純物であり、得られたダイヤモンド結晶の純度は10Nグレードと非常に高いことが分かった。SIMS分析から12C同位体濃度も99.998%と最高値であることが分かった。後者については、H28年度までの結果を考慮し、メタンガス中に窒素が1ppmあるいは500ppmで混入したメタン原料を準備してダイヤモンド成長を行った。500ppm窒素混入メタンガスについては、これとは別に高純度のメタンガスを併設し、それぞれのガス流量を独立制御することで、窒素濃度が500ppm以下の所望の量に制御したメタンガスに調合した。ガス中の窒素濃度を50ppmとしてダイヤモンド成長を行ったところ、ダイヤモンド薄膜中に窒素が0.5~1ppmの濃度で取り込まれた。一方でガス中の窒素濃度を0.5ppmとしてダイヤモンド成長を行ったところ、ダイヤモンド薄膜中に窒素を検出することが出来ず、原因解明中である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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