研究課題/領域番号 |
15H03986
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
前橋 兼三 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40229323)
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研究分担者 |
大野 恭秀 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (90362623)
金井 康 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (30721310)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マイクロ・ナノデバイス / ナノ材料 / グラフェン |
研究実績の概要 |
本研究は、第1に核形成位置制御法による高性能グラフェンデバイスのアレイ構造を作製する。これは、結晶粒界を有しないグラフェンチャネルを合成することにより高性能デバイスを作製するである。次に、糖鎖プローブをグラフェンチャネル上に修飾することにより、インフルエンザウイルス高感度検出システムを創生することである。 前年度は、フォトリソグラフィと酸化銅のウェットエッチングを用いて、300°Cで酸化した銅酸化層から金属銅が露出したマイクロパターンを作製する事により、核形成位置制御法を用いてグラフェンの位置選択的な成長を行うことが可能となった。しかしながら、パターン内には結晶核が多く、結晶バウンダリーが多数存在するため、結晶性が良好ではない。そのため、パターンサイズを変化させることで、内部にある結晶数の制御を試みた。パターンサイズを200から5ミクロンまで変化させると、パターン内の結晶数が減少し、75 ミクロンパターン内では結晶数が一個程度になることが明らかになった。 グラフェンデバイスを用いて、ウイルスを検出する為には、グラフェン表面を糖鎖アレイで修飾する必要がある。そのため、1ピレンブタン酸スクシンイミジルエステルを用いて糖鎖プローブをグラフェンへ結合可能な誘導体化を行い、アプタマーや抗体と同様にアミド結合で糖鎖プローブをグラフェン表面へ修飾するプロセスを開発した。その結果、検出選択性を示すヒト型および鳥型プローブ糖鎖修飾グラフェンを作成可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
銅酸化層から金属銅が露出したマイクロパターンを作製する事により、核形成位置制御法を用いてグラフェンの位置選択的な成長を行うことが可能となった。次に、そのパターンサイズを変化させることで、内部にある結晶数の制御を行う事ができた。さらに、1ピレンブタン酸スクシンイミジルエステルを用いて糖鎖プローブをグラフェンへ結合可能な誘導体化を行い、アプタマーや抗体と同様にアミド結合で糖鎖プローブをグラフェン表面へ修飾するプロセスを開発した。そのため、おおむね順調であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、グラフェン成長時間を増加させることにより、グラフェンの面積をデバイスのチャネル程度に増加させ、その膜をラマン散乱分光および電気的測定を行う。さらに、シアロ糖鎖と特異的な結合を示すタンパク質であるレクチンを用いて、ヒト型および鳥型プローブ糖鎖修飾グラフェンを作製し、検出選択性を検討する。
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