研究課題/領域番号 |
15H03991
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
中本 正幸 静岡大学, 工学部, 教授 (10377723)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電子デバイス・機器 / 先端機能デバイス / マイクロ・ナノデバイス / パワーデバイス / 電力変換 |
研究実績の概要 |
本研究では、独自の転写モールド法エミッタ作製技術を用いて、耐環境性のある低仕事関数アモルファスカーボン、TiN、導電性セラミック材料等のミッタ材料科からなり、先鋭な極微小電子源を作製し、エミッタ材料の基本電子物性と電界放出特性との関係、ガス雰囲気との関係等を究明し、ナノ構造量子ドットサイズ耐過酷環境性大電流極微小電子源を開発し、これによりCO2 削減に大きな寄与をする、太陽光・風力・スマートグリッドシステム、超伝導送電に有用な超低損失超小型電力変換デバイス、高効率・高現実感・3 次元ディスプレイ、大面積量子効果デバイス等の基礎技術の実現を目指す。 本年度は、エミッタ材料にアモルファスカーボン薄膜を用い、更に金属支持層を充填して、微小電子源を試作する。 400nm~1.6μmのSi鋳型を試作し、基底部長さ383nm~1580nm、先端曲率半径3.0-3.2nmの先鋭性に優れ極微小電子源の開発に成功した。更に、基底部長さ383nmの極微小電子源のピッチを1倍から0.85倍、0.63倍程度までに狭くしエミッタ密度が2.0×108個から2.8×108個、5.3×108個に増加した高密度エミッタを作成した。 集積化した高密度エミッタのTurn-on電界は、15.4 V/μmから15.3 V/μm、14.8 V/μmへと低くなった。Spindt型微小電子源などの50-600 V/μmと比較してturn-on電界が低くなった。 更に、電子放出電流密度は、ピッチを1倍から0.85倍、0.63倍程度までに狭くし、電子放出サイトが増加したため、61.6mA/cm2から101.9mA、164.8mA/cm2に増加となり、電力変換デバイス・高効率・高現実感・3次元ディスプレイ実現のため、平成27年度の目標値の20mA~40mA/cm2以上の極微小電子源を開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
独自の転写モールド法エミッタ作製技術を用いて、ピッチを基底部長さの0.85倍から0.63倍程度までに狭くした高密度エミッタの極微小電子源の開発に成功した。転写モールド法微小電子源のturn-on電界は14.8-15.3V/μmとなり、集積化した高密度エミッタは、電子放出サイトが増加したため、15.4 V/μmより15.3 V/μm 、14.8 V/μmと低くなった。既存のSpindt型微小電子源等の50-600 V/μmと比較してturn-on電界が低くなった。ピッチを1倍から0.85倍、0.63倍までに狭くした結果、電子放出電流密度は61.6mA/cm2から102 mA/ cm2、164.8mA/cm2程度に増加となり、電力変換デバイス・高効率・高現実感・3次元ディスプレイ実現のため、平成27年度の目標値の20mA~40mA/cm2以上の極微小電子源の開発に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
エミッタピッチ、エミッタ面積を変化させSi鋳型の均一形成の作製条件の検討・試作、低仕事関数・耐環境性エミッタ材料等の検討等を行い、基底部長さ100nm~400nm、先端極率半径1~10nm の極微小電子源を開発する。アモルファスカーボン作製の最適条件を探る。 また、申請者が独自に発見した、安定な導電性セラミック材料も試みる。真空一貫エミッタ作製評価システムを用いて、大気暴露有無、酸素・水素ガス及びそれらのプラズマ等の雰囲気で電界電子放出特性を調べ、従来測定例のない大気・ガス雰囲気と耐環境性エミッタ材料との関係、極微小エミッタによる電流安定性の改善などを究明する。更に、FE-SEMなどによる表面観察ならびにXPS,UPS,電界電子放出特性等から求めた仕事関数等と併せ、反応性ガス・エミッタ材料作製条件・組成・モフォロジーと仕事関数・電界電子放出特性等との関係を明らかにする。
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