研究課題
短チャンネルMOSFET素子にさまざまな値のストレスゲート電圧を一定時間印加し、その前後のクーロンダイヤモンド(CD)特性を比較した。その結果あるストレス電圧値を境にCD特性は大きく変化し、新たなDB欠陥の生成を示唆する結果を得た。素子を一度100℃まで昇温後、再度1.5Kにて測定すると、CD特性はストレス印加前のものにほぼ戻るため、これらの一連の結果はストレス電圧印加後のCD特性の変化が比較的小さなエネルギーで生成・消滅することを示唆しており、水素の剥離によるDB欠陥生成エネルギーと矛盾しないことがわかっている。新たに生じたCD特性の周辺において観測された2重ドット的伝導と、そこでの電気検出磁気共鳴スペクトルの形状について解析を行った。その結果、複数の磁気共鳴スペクトル間に反交差が見られ、これは素子の交換相互作用およびスピン・軌道相互作用に起因することがわかった。2重ドットの各ドットにそれぞれ1つ含まれるスピン間の交換相互作用の大きさは15GHz、スピン・軌道相互作用の大きさは3GHzであった。また共鳴線幅は57MHz (0.65mT)と小さく、長い量子コヒーレンス時間が期待できるものであった。任意波形発生装置およびマイクロ波スイッチを導入しパルス変調したマイクロ波を生成するための測定系の構築を行った。当初予定していた単一のBD欠陥スピンのコヒーレント操作にまではいたっていない。
3: やや遅れている
パルス変調したマイクロ波を生成するための測定系の構築に時間を要し、当初予定していた単一のBD欠陥スピンのコヒーレント操作にまではいたっていない。
研究計画にそって推進する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Phys. Rev. Lett.
巻: 115 ページ: 186803
http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevLett.115.186803
巻: 115 ページ: 036601
http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevLett.115.036601
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 10076
doi:10.1038/srep10076