研究課題/領域番号 |
15H04001
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
坂本 高秀 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワークシステム研究所ネットワーク基盤研究室, 主任研究員 (70392727)
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研究分担者 |
梅沢 俊匡 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワークシステム研究所ネットワーク基盤研究室, 主任研究員 (20636047)
久利 敏明 国立研究開発法人情報通信研究機構, 経営企画部企画戦略室, 総括プランニングマネージャー (30359070)
呂 国偉 東海大学, 創造科学技術研究機構, 准教授 (30599709)
川西 哲也 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40359063)
千葉 明人 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (30435789)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 光デバイス / 光回路 / 光多重 |
研究実績の概要 |
本研究は,「超高速,高密度光通信ネットワークのための光時間周波数領域直交多重・分離器」を新たに提案,開発し,その機能を実証することを目的とする. 元来光多重,分離に不可欠であった光周波数分解用光フィルタや高速フーリエ変換回路に依存せずに,超高密度光多重,分離を実現し,光波長、グリッドに縛られない柔軟な光多重,分離器を提供することにより,複雑化,大規模化する光通信ネットワーク形態刷新に貢献するものである. 本期間において,光時間周波数直交多重,分離器の基本設計 を行うとともに,デバイス開発に着手した.また、評価系を含めた各基礎技術の整備を行った.インコヒーレント多重型光時間周波数直交多重器の原理実証を主題とし,そのために必要な,最小限の回路構成を持った,光時間周波数直交多重器(インコヒーレント多重型)及び,光時間周波数直交分離器(インコヒーレント多重型)を構築し,これを用い,原理実証を行った.【光時間周波数直交多重器(インコヒーレント多重型)の開発】まず,インコヒーレント多重型光時間周波数直交多重回路の開発の第一段階として,光変調器を直列接続により,多重器側光ミキシングユニットの原理確認を行った. 【光時間周波数直交分離器(インコヒーレント多重型)の開発】分離器開発の第一段階とし て,インコヒーレント多重型時間周波数直交分離回路の構築を行い,その原理を確認した.光コム発生部、光多周波ミキシング部 1 対を最小ユニット(分離器側光ミキシングユニット)とし,1 ユニット分を構築し,光コム発生部には、多重器側と同構造のマハツェンダ変調器型光コム発 生器を用いた.光多周波ミキシング部には,平衡フォトダーオード集積型ハイブリッドカプラを用い,復調機能の原理を確認した. これらの成果は,著名海外論文誌,著名国際会議等において,報告を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度においては,研究過程において,下記示されるように,研究課題の繰越しを行った. 平成27年10月、インコヒーレント分離器の開発過程で,設計計算を行った所,事前の理論予測と異なり,現実の光信号を扱う際に信号直交性能が損なわれ,光多重特性を劣化させることが発覚した.研究遂行上、ハードウェア開発前に、この直交性劣化を補償,補正するアルゴリズムを開発し,再設計する必要があるため,アルゴリズム開発を優先して行った.当初予定のハードウェア開発は平成28年度に繰越した.上記の繰越し分の研究課題は,繰越し申請書に記載の予定通り,平成28年9月に完了した. 他の部分においては,研究進捗は順調である.当初の予定通り,光時間周波数直交多重器(インコヒーレント多重型)の開発,及び,光時間周波数直交分離器(インコヒーレント多重型)の開発の第一段階として,最小限の回路構成を構築し実証実験を行い,その原理実証を行った.
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今後の研究の推進方策 |
【光時間周波数直交多重器(コヒーレント多重型)の開発】コヒーレント多重型光時間周波数直交多重回路製作を行う.上述の多重器側光ミキシングユニットをn並列集積して製作する.具体的には,光変調アレイ数を増やすと共に,PLC回路部分を拡張改造した構成で,nチャネル多重回路を製作する.各チャネル間の光位相差の制御は,光変調器側の電極、もしくはPLC回路側の電極(温度制御による)により行う.原理実証に必要な最小多重数2を最低目標とし,4ー8多重程度の光多重回路の実現を目指す. 【光時間周波数直交分離器(コヒーレント多重型)の開発】 第2段階のコヒーレント多重型時間周波数直交分離器の開発では,nチャネル分の分離器側光ミキシングユニットの並列集積を行う。PLC等の集積技術を用いることを目標とするが、限られた開発期間内では,技術的ハードルは高い.光分岐等は空間光学的に作成し,2チャネル程度の最小ユニット数でのコヒーレント多重型光分離器の実証を目指す. また、並行して、多並列直交分離信号に対してDSP上で多次元信号空間を回復,構築するアルゴリズムを開発し、コヒーレント多重型の光時間周波数直交分離を模擬的に実証する。これを代替予備技術として並行開発する。
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