平成29年度は、前年度までに実施したスマートフォンを用いたクラウドセンシング端末の実装と電波伝搬データベースのモデル化および自己キャリブレーション機能の理論的な検証をもとに、実証実験を中心として提案手法の有効性の検証を行い本研究開発課題の総括を行った。 一つ目の課題として、「課題1-3:クラウドセンシング端末自己キャリブレーション技術の検証」の検討を行った。本研究では、端末の状態による観測値への影響を自己キャリブレーションする手法の検討を行っているが、本年度はフェージング環境におけるデータに対して、メッシュ化したエリア上で補償を行い精度改善を図る手法を提案しその評価を実施した。二つ目の検討として、「課題2-1:クラウドセンシングを活用した自己組織的電波伝搬モデル化手法の考案」および「課題2-2:電波伝搬モデルの空間および周波数相関性の検証」として、課題2-1で構築した電波伝搬モデルを利用し、課題2-2で同一のモデルが適用できる空間的な広がりおよび周波数的な広がりについての検証を行った。ここでは、実際の無線LAN端末を使い、屋内および屋外で空間および周波数相関を導出したうえで、モデリングを行うことで、観測間隔を開けた場合でも精度の高い環境予測ができることを実証した。最後に、「課題3.クラウドセンシングを用いた自己組織的電波伝搬モデル化実証実験」として、無線LANおよびITS車車間通信環境に置いて取得したデータを基に、伝搬伝搬予測精度の確認を行った。 3年間の活動を通して、通信端末で観測した情報を基に、電波伝搬モデルを構築するための基盤技術を、理論面、計算機シミュレーションおよび実証実験を通して確認することができた。
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