研究課題/領域番号 |
15H04009
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
古賀 正文 大分大学, 工学部, 教授 (60448545)
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研究分担者 |
水鳥 明 大分大学, 工学部, 助教 (10190646)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光ホモダイン検波 / 多値QAM符号 / コヒーレント光通信 |
研究実績の概要 |
本研究は、多値QAM(Quadrature Amplitude Modulation)信号のホモダイン(同期)検波を可能にすることによって、周波数オフセット・位相推定に関する処理を不要にしてディジタル信号処理負荷軽減を図るとともに、位相感応増幅器における励起光位相再生技術を確立すること目的としている。今期には、多値QAM信号に対するホモダイン検波動作、並びに多値フリー動作検証、が主な課題であった。 実現が難しいとされてきたホモダイン検波に関して、我々はすでに20Gbit/s QPSK信号に対して安定な動作を実証済みである。この実績に基づいて16-QAM光信号に対するホモダイン検波構成を考案し、設計試作を行い、動作検証を実施した。その結果、安定かつ良好な特性が得られたので、まず権利化を行い、3月に米国で開催された国際会議に採択されて発表した。現在、ジャーナルへの投稿を準備中である。光ファイバ伝送において波長分散を被った信号であっても、ホモダイン検波可能であり、誤り率(BER)が2桁台出会っても位相同期が維持できることを明らかにした。また、Software-Defined Opticsの概念実証へ向けて、多値化信号多値数変更へソフトウェアによって適応可能とするために、局部発振光位相を自動引き込ませる系を考案構築し、20Gb/s-QPSK信号にて実証した。引込み時間は1ms程度であり、ネットワークシステムの状態変更に十分に耐えうる時間内に自動引き込みが可能であることを示した。今回、16-QAMでの提案実証であるが、原理的にM-ary QAMへ適用可能である。多値フリー動作検証と言える。なお、PSA励起光位相同期技術への展開に関しては、非縮退型PSAが主流となっており、それに適したホモダイン検波系を研究協力者とともに考案し、実証することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28 年度目標に掲げたのは、多値QAM信号に対するホモダイン検波動作ならびに多値数適応動作検証、である。16-QAMホモダイン検波を実証し、国際会議にて発表、並びにホモダイン検波のための局発光自動引き込み実証に成功した。PSAのための励起光に関しては、異なる方式の提案実証を行なった。当初の目的を達成している。
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今後の研究の推進方策 |
ホモダイン検波系におけるひとつの課題は、偏波多重信号に対する受信の困難性にある。偏波多重信号に対するホモダイン検波の可能性を明らかにする。光ファイバ伝搬に伴う偏波の制御は困難とされてきたが、StokesVectorParametersを制御することによって、偏波制御の可能性は広がる。その制御には、3層構造ニューラルネットワーク(深層学習)を採用して可能性を探り、適応フィルタとの性能比較を行う。 Nyquist Filterによる稠密多重の検証も進める。
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