本研究の目的は、皮膚表面から放出される生体由来ガスに含まれる揮発性化学情報の高感度かつ選択的なイメージングシステムの構築を目指している。体内の代謝に伴い呼気や皮膚ガスとして放出されるガス成分はその濃度が空間的・時間的に大きく変動する。その濃度変化や放出分布をリアルタイムで画像化することで、発生部位の特定や濃度の連続測定が可能な、新規な非侵襲計測・診断法となり得ると考えられる。代謝産物である肝臓にて代謝されるエタノールなどの揮発成分を含む呼気や皮膚ガスを、光イメージングにより情報化が可能な計測システムを構築し、非侵襲的かつ簡便で新しい疾患・代謝のスクリーニングへの応用を目指した研究である。 平成30年度はこれまで構築した要素技術を集積化して、代謝由来の生体ガスのバイオイメージングシステムの構築を行った。測定の対象成分としては、肝臓の代謝機能評価のための皮膚ガス中に含まれるエタノールガスの放出動態を評価した。倫理承認に基づき生体サンプルとして呼気や皮膚ガスを用いてイメージングの評価を行った。アルコール脱水素酵素2型(ALDH2)の活性型(+)と非活性型(-)の被験者を用いて、代謝に基づく皮膚ガス中のエタノール濃度の変化について経時変化を計測した。皮膚ガス計測に関して連続的なppbレベルの低濃度の皮膚ガス成分を連続計測することが可能なシステムを構築し、これまで得られた成果をまとめ、Analytical Chemistry誌、Biosensors and Bioelectronics誌、ACS Sensors誌などの論文誌にて発表した。
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