研究課題/領域番号 |
15H04014
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
岩井 俊昭 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80183193)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | スペクトル領域光コヒーレンス断層撮像システム / 時間領域光コヒーレンス断層撮像システム / 水分布イメージング / ランバートベール則 / 水吸収スペクトル / 色素吸収スペクトル / 近赤外光 |
研究実績の概要 |
平成28年度の計画では①2波長注入スペクトル領域OCTシステムの試作,②葉組織内の水分量計測と2次元空間的水分布イメージング,および③近赤外分光器を用いた2波長スペクトル領域OCTシステムよるヒト皮膚水分計測の試みの3課題を予定していた.初年度には,基本原則であるランバートベール則が成立することを実証確認したため,約半年の研究遅延を生じた.平成28年度では,生体組織内の色素や水分の吸収イメージングを試みた.本来の目的である,近赤外時間領域OCTシステムによって水分量イメージングを試み,2波長注入型のスペクトル領域OCTシステムの構築を完了した.
平成28年度の研究成果は以下の通りである.論文(1)はSPIE Photonics Asiaにおける発表(7)のプロシーディング,(11)はイントラリピッド粒子を含むファントムによる検証成果であり,これらは初年度の研究の総合報告である.発表(5),(6),(9)は,基本原理を共有する可視域OCTの断層撮像研究の成果である.論文(2)は,ヒト組織内の吸収部位のイメージングを行なっており,吸収イメージングの検証の応用である.発表(8)は,植物組織内の水分量イメージングの成果である.具体的には,水を十分に吸収したセロリの茎の断層撮像を行ない,水分量が時間経過とともに減少する変化を2次元画像として再構成することに成功した.発表(2)は,高速分光部の先駆けとなる技術開発であり,スペクトル領域干渉動的光散乱法の成功例である.この要素技術を利用して,2波長同時注入型スペクトル領域OCTシステムの構築を完了した.平成28年度に招待講演として行なった7件の講演では,平成27年度の実証事実を取り込んだ機能的OCT技術を紹介している.これらの講演を通して,ランバートベール則に基づくOCT吸収イメージングの実用性への評価が著しく高いことを実感した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①研究進行が半年遅延していること. ②平成27年度の研究成果について論文化を行なっているが,データに整合性が取れていない要素を発見し,論文化に遅延が生じていること. ③波長1050nmと1300nmの2波長時間領域OCTシステムによるセロリ組織内の水分量イメージングに成功した. ④波長1050nmと1480nmの2波長同時注入型スペクトル領域OCTシステムの構築が完了した.
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) 平成29年度の研究目標は,上半期において①2波長時間領域OCTシステムによる植物組織内の水分布イメージングの研究を継続すること,②波長1050nmと1480nmの2波長同時注入型スペクトル領域OCTシステムのファントム実験によるスペック評価すること,ならびに③平成27・28年度の研究成果を論文発表する.下半期は,④波長1050nmと1480nmの2波長同時注入型スペクトル領域OCTシステムによるヒト皮膚表層の水分量イメージングを完了しその成果を発表する.
(次年度の使用計画) 平成29年度は,前年度の成果について国際的学術誌に4編発表すること,外国で開催の国際会議において研究発表2件を行なうこと,国内で開催の国際会議における招待講演1件と研究発表4件を行なうことを予定している.直接経費は少額の物品購入を除いては旅費とその他の経費に使用する。
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