本研究では,ネットワーク化された大規模制御系に対する悪意のあるサイバー攻撃とその情報セキュリティ対策を制御理論の観点に基づいて考える.攻撃として観測・制御信号の改ざんや無線通信に対するジャミングを想定し,危険な情報が及ぼし得る影響を抑制する制御・推定手法を構築した.主たる成果として,マルチエージェント系の合意問題において異常エージェントが含まれる場合にロバストに合意を達成するアルゴリズムの構築や,無線通信を介した線形制御系がジャミング攻撃やパケット損失の影響下にある場合の安定性解析が挙げられる.通信や計算量の面で制約される環境においても,セキュリティレベルや制御性能を保証する方法を導出した.
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