研究課題/領域番号 |
15H04033
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中村 光 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60242616)
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研究分担者 |
三浦 泰人 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10718688)
山本 佳士 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (70532802)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腐食ひび割れ / 剛体バネモデル / 局部腐食 / 電食実験 / 内部ひび割れ / 表面ひび割れ / 時間依存挙動 / 海水暴露実験 |
研究実績の概要 |
(1)電食実験による各種要因の内部ひび割れと表面ひび割れの関係評価 鉄筋の本数、腐食長さ、腐食速度、鉛直・水平かぶりといった要因が、ひび割れ性状に及ぼす影響を、電食実験ならびに開発している剛体バネモデルを用いた解析手法により評価した。単一鉄筋が軸方向に一様腐食をした場合を対象にして、鉄筋径・鉛直かぶり・水平かぶりをパラメータとした、表面ひび割れ発生の腐食量と、腐食量と表面ひび割れ幅進展の関係式を昨年度導いているが、今年度の実験結果を踏まえさらに精度のよいモデルに修正を行った。また、部分腐食した場合にも評価が出来るような拡張を併せて行った。この結果は、点検において計測されるひび割れ幅から腐食量の概算を推定することを可能にするもので、合理的な維持管理の実施に寄与するものである。 (2)海水循環環境下の暴露試験による内部ひび割れ進展評価 自然暴露に近い条件下のひび割れ進展評価を行うために、中部電力技術研究所内の海水循環水槽を用いた数年にわたる暴露試験(平成29年4月現在暴露1.5年)を継続して実施した。ただし、特段の変状が生じていないため、暴露試験を継続することとした。 (3)腐食進展ひび割れ解析手法の高精度化 開発してきている剛体バネモデルによる解析手法をより実際の腐食状況を再現できるように、電気化学的手法と結びつけて時間依存解析手法に拡張し、時間軸上で局所腐食・ひび割れ進展を評価可能な手法にした。さらに、電食実験とは異なる実構造物での緩やかな腐食速度の影響を評価するための、腐食生成物の移動を考慮した時間効果を評価可能なひび割れ進展評価手法の開発を併せて行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度の計画で予定していた、(1)電食実験による各種要因の内部ひび割れと表面ひび割れの関係評価、(2)海水循環環境下の暴露試験による内部ひび割れ進展評価、(3)腐食進展ひび割れ解析手法の高精度化、の項目いずれについても着実に実施している。ただし、(1)の項目で予定していた複数鉄筋の影響の検討の進捗が予定より遅れていること、(2)の項目で腐食損傷が生じず継続とし特段の検討を行わなかったため、「概ね順調に進展していると」自己評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定通り進んでいるので、予定していた研究実施計画を推進する予定である。 「(1)電食実験による各種要因の内部ひび割れと表面ひび割れの関係評価」の項目については、より実構造物に近い条件下での実験・解析を行うようにし、実務で役立つ情報を得るようにする。特に、多数本の鉄筋が配置された場合のひび割れ進展やせん断補強筋のひび割れ進展抑制効果について新たに検討する。 「(2)海水循環環境下の暴露試験による内部ひび割れ進展評価」は電食実験と違い時間がかかるが、実構造物に近い条件での貴重な実験であるので、継続的に実施し、必要に応じて研究期間後も継続するつもりである。 「(3)腐食進展ひび割れ解析手法の高精度化」については、実構造物の長期にわたる維持管理に寄与できるよう、実配筋を出来るだけ再現できるような解析手法や、腐食生成物の移動を考慮した正確な時間依存挙動が評価できるように解析手法のさらなる開発を進める。 新たな項目として「(4)表面ひび割れ幅から内部ひび割れを推定する方法の検討」を実施し、 実験・解析から明らかになった各種諸元における表面ひび割れと内部ひび割れの関係を整理し、表面ひび割れ幅から内部のひび割れの関係を推定する方法を検討する。
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