研究課題
近年河川湖沼において沈水植物が繁茂、景観、漁業等に多大な影響を及ぼしている。本研究では、沈水植物の環境ストレスの強度を評価することで、沈水植物の生育条件を把握した。主に、近年多大な問題を引き起こしているオオカナダモを対象に研究を進めた。沈水植物は環境ストレス下で細胞内に活性酸素が生成、酸化ストレスとしてタンパク質等を破壊することに着目、その中で比較的安定で分析に適した過酸化水素濃度を用いてストレス評価を試みた。水温、光強度、流速、酸素濃度を変化させた室内実験の結果及び河川における現地観測の結果より、主要なものとして、以下のような結果を得た。日射を遮断した実験、観測の結果より、過酸化水素濃度は直接的には乱流強度、また平均流速に対し、ほぼ線形に増加する。日射を照射した実験、観測の結果と比較すると、後者の場合の過酸化水素濃度が常に高くなり、日射による過酸化水素の生成(光阻害)が示唆される。これらの過酸化水素の濃度の差(光阻害)は光強度との間には正の一定の関係が存在する。また、水温と過酸化水素濃度との間には一定の関係が存在する。さらに、全体の過酸化水素濃度は、これらの異なる環境ストレス強度から得られる過酸化水素濃度増分の線形和で得られる。また、全体の過酸化水素濃度が一定値以上で長期間継続すると、植物体は枯死する。以上の結果より、光阻害が最も大きくなる河床の夏季日中の光強度、勾配と水深との関係によって表される流速を用いることで、河川における縦断方向における群落形成の可能性を求めた。その結果、例えば、オオカナダモにおいては勾配は1/120以下の河床で、かつ、水深としては、勾配が緩くなると領域は広がるものの、水深としては概ね30㎝以上の場所で群落が形成されるという結果が得られた。さらに、この結果は、多くの河川の観測から得られたオオカナダモ群落の形成する領域に符合するものであった。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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