研究課題/領域番号 |
15H04049
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
内山 雄介 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80344315)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 海域環境アセスメント / 海洋モデリング / 波-流れ相互作用 / サブメソスケール乱流 / ダウンスケーリング |
研究実績の概要 |
1年目(H27年度)は,領域海洋循環モデルをベースにvortex force型の波-流れ相互作用の効果を組み込んだ数値モデル(ROMS-WECと呼称する)に対し,特に波-流れ相互作用に関する要素技術の高度化に取り組んだ.ROMS-WECでは(鉛直)乱流モデルとして地球流体分野で開発されたKPPモデル(Largeら,1994)を改良したものを用いているが,本研究では浅海域での乱流構造の再現性の向上を目指し,GLS乱流モデル(Umlauf & Burchard,2003)をベースにローカルなTKE生成に対するStokes drift鉛直分布に伴うシア生成や砕波(white cappingを含む)の影響を考慮した2方程式モデルを開発することを目標としている.1年目(H27年度)は,上記モデル開発のためのパラメータセット取得などのために,紀伊半島田辺湾沖において秋季~冬季風浪を対象とした長期連続観測を行った.現地観測では新たに購入した自記式超音波流速分布計ADCP(RDI製 Workhourse Centinel 600 kHz)を海底に設置し,層厚0.5m,サンプリング周波数2Hzで約75日間の連続観測を行い,位相平均された波浪の影響を取り込みつつ,潮流,吹送流,外洋影響などを包含した良質なデータセットの取得に成功した.これを用いて同湾湾口部における海面境界層内の力学構造,流動とその発生機構,海水交換特性になどに着目した詳細な解析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H27年9月から約3ヶ月間のADCP+CT連続観測により,海洋表層境界層内の流動・密度鉛直構造に関する良質なデータセットの取得に成功した.しかしながら,H27年秋季~冬季の気象海象条件は例年になく静穏であり,当初想定していた高波浪イベントを捉えることができなかった.ただし,成層期から成層崩壊期における混合層の遷移や,それに伴う内部潮汐波の伝播特性変化,また沖合の黒潮流路変動に対応した紀伊水道スケールで生じる中規模循環流による沖合水塊の波及イベントなどを捕捉することができ,現地観測結果を取りまとめて学術論文として投稿しているところである.
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今後の研究の推進方策 |
H27年度は現地観測において台風や低気圧に伴う荒天イベントを捉えることができなかったので,H28年度にもう一度,紀伊半島田辺湾沖において秋季~冬季風浪を対象としたADCP+CT長期連続観測を行い,研究計画推進のためのデータセット取得を目指す予定である.
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