研究課題/領域番号 |
15H04050
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
竹原 幸生 近畿大学, 理工学部, 教授 (50216933)
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研究分担者 |
江藤 剛治 大阪大学, 工学研究科, 招へい教授 (20088412)
中北 和之 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究領域主幹 (50358595)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 感圧塗料計測 / 高速ビデオカメラ / 波面上の圧力分布 |
研究実績の概要 |
[研究の背景と目的] 航空流体力学分野で感圧塗料(PSP: Pressure-Sensitive Paint)による風圧場の計測法が開発されてきた。時間変動の計測には、燐光の減衰定数から圧力を求める方法が有力視されている。このような計測技術をLT-PSP (Life-Time PSP)と呼ぶ。LT-PSPには超高速、超高感度で、多数回の撮影に対して画像信号を画素内で積算できるイメージセンサによる撮影が理想的である。このような4次元(t, x, y, z)風圧場の画像計測技術を開発する。研究代表者は、この技術を風波面上の風圧場に適用し、風波表面の気体輸送のダイナミクスの解明に役立てる。分担者は最近の旅客機等で実用化されているカーボン繊維でできた大変形翼の風圧場の計測に適用する。 [平成28年度の成果] (a) 大変形翼の風圧場の計測:多重露光機能付きCCDカメラと紫Laser Diodeを用いた高精度Life-Time PSP計測システムを構築し、PSP燐光寿命中の計測時間の最適化を行った。このシステムを用い、マッハ0.74の気流中の30Hzで駆動される強制振動翼上の非定常圧力分布を多重露光フェーズロックLT-PSP計測で取得することに成功した。(b) LT PSP計測カメラの開発:撮影速度1億枚/秒の専用イメージセンサのテストチップを開発した。32×32画素で連続1,120枚の画像を撮影できる。また、画像信号を各画素内で積算する機能を有する。画素数は少ないがE, Fという文字を撮影できるところまで進んだ。(c) リップル模型の圧力計測:正弦波模型を製作して風洞に設置し、可視化により、風下側の剥離や再付着点の時間的変動などの風速場の基本的な性質を調べた。 (d) 粒子位置情報から界面近傍せん断力の直接計測:壁面付近のPTV計測を可能にするトレーサー粒子の選択と散布法について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) 各研究項目について進捗にばらつきがあるが、専用イメージセンサーの開発や、マッハ0.74の気流中の強制振動翼上の非定常圧力分布の計測に成功するなど、難易度の高い技術開発項目について着実に研究成果が得られている。従って、総合的に見て順調に研究開発が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
(a)大変形翼の風圧場の計測:多重露光機能付きCCDカメラと紫Laser Diodeを用いた高精度Life-Time PSP計測システムを風洞試験に適用する。 (b)LT-PSP計測カメラの開発:開発した32×32画素で1億枚/秒のテストカメラの感度や撮影速度等の評価を行う。評価に基づいて、テストセンサーの課題を明らかにし、画素構造と読み出し回路の課題を改善した素子設計を行う。さらに画素数を256×256画素に増やした実用センサーを設計する。また、テストセンサーでPSPを撮影し、減衰定数の計測可能性と信号の積分可能性等の基本的性質を調べる。 (c)リップル模型の圧力計測:正弦波模型にPSP塗料を塗布し、PSP寿命計測カメラを用いた静的PSP計測により、時間平均風圧場を計測する。さらにLT-PSPへの適用を検証する。 (d)粒子位置情報から界面近傍せん断力の直接計測:改善したトレーサー粒子の散布法を、風洞中の正弦波模型に適用する。
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