津波順解析モデルの高度化により、長時間にわたって高精度に津波波形を推定できる計算コードを開発してきたが、一方で必要な推定精度を確保するには太平洋全域を3km程度解像度で計算する必要があることが判明した。従来の計算コードでは、この解像度の計算を実行するのに再現時間の9.1倍の計算時間を必要とし、予測に用いることはできなかった。そこで本年度は計算コードの並列化を実施した。OpenMPとMPIによるハイブリッド並列化により、計算効率を大幅に向上させることに成功し、5ノード80コアの並列計算機を用いた実験では、再現時間の0.4倍の時間で計算を実行することができた。計算コードはより高並列の計算機にも対応しており、さらなる計算時間の短縮も可能である。これにより、開発した高精度津波順解析モデルを実際の遠地津波の長時間波形予測に活用するための技術的な課題を克服することができた。
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