研究課題/領域番号 |
15H04059
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小池 淳司 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60262747)
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研究分担者 |
石倉 智樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (30356050)
織田澤 利守 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30374987)
土屋 哲 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70422623)
桑野 将司 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70432680)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経済交易データ / 物資流動データ / 企業ビッグデータ |
研究実績の概要 |
わが国には,商品流調査による地域間産業連関表,全国貨物流動調査(物流センサス),貨物・旅客地域流動調査などが行政による統計として公表されている.一方で民間信用調査会社による企業間取引データ(企業ビックデータ)の整備・公表の準備が進み,学術レベルでの利用が可能となってきている.本来,地域間取引に関するこれらのビックデータは同じものを違う角度・集権単位で計測しているにすぎず,あるデータから別のデータを類推することも可能なはずである.本研究課題は,これら4種類の計測目的・手法の異なるデータの整合性・補完性を確認し,それらを統合化するフレームの構築を試みる.初年度に当たる本年度は,各種データを比較的大きな地域,産業分類で集計し,それぞれの相関関係を確認するとともに,各種データソースが持つ特徴をまとめた.また,交易および物流には純流動と総流動という定義の違いがあり,それぞれを整合的に推計可能なモデルを構築した.その成果は「物流拠点を経由する都市間物流モデルの構築」土木学会論文集D3(土木計画学)として,公表した.また,オランダ,ドイツの同様のデータを用いて解析を行い,その特徴をまとめるに至っている.また,データが十分に整備されていない地域のデータ補完性に関しては,「Socioeconomic Evaluation of Transit Oriented Development using by Detailed Spatial Scale CUE Model in Taiwan」と題し,国際会議(The 11th EASTS Conference in Cebu, 2015)にて公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究推進に際して,当初予定した通りに順調に進んでいるため.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は3年間を予定し,次年度は2年目にあたる.昨年度は既存統計データを用いて,ダブル・トリプルネットワークの整備効果の存在をパネル分析により統計的に検証した.その結果,近畿地方では,ある特定の地域に限定されるものの,リダンダンシー効果が企業の新規立地を誘発している可能性を発見した.本年度は,この分析を中部圏・関東圏など範囲を拡大し,近畿地方で得られた結論がどの程度一般性を有しているかの検証を引き続き検討する.一方,本年度は理論分析として,不確実性下の意思決定モデルとして企業および家計の立地行動を検証する.その上で,昨年度得られた統計的検証を再現可能な実証的理論モデルの構築を試みる.また,最終的にはリダンダンシー効果計測の手法を提案することを目的としているため,一般均衡のフレームでどのようにリダンダンシー効果を位置づけるかの検討を開始する.これまで,本研究課題は当初の研究実施計画通りに進んでおり,本年度の研究計画も実施可能と判断している.さらに,結果の公表においては,国内専門誌の投稿を順調に進めている.また,7月に予定されている国際会議(ソウル,国際IO学会)にて一般均衡フレームの計測結果を公表する予定である.さらに,同7月に予定されている国際会議(上海WCTR)においては,オランダ,ドイツ,アメリカの研究者と本研究課題に関して研究打合せを予定し,世界各国での研究成果を蓄積するフレームを議論する予定である.
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