研究課題/領域番号 |
15H04060
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
塚井 誠人 広島大学, 工学研究院, 准教授 (70304409)
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研究分担者 |
奥村 誠 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00194514)
日比野 直彦 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (10318206)
金子 雄一郎 日本大学, 理工学部, 教授 (40434112)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Web調査 / 傾向スコア |
研究実績の概要 |
本研究では,従来の紙面ベースの調査では情報収集が困難だった低頻度の都市間旅客の純流動を,在宅者を対象とするWeb調査によって効率的に調査する手法の開発を行う.この調査は,各調査時点から遡って3ヶ月以内に実施したトリップを思い出して記録する回顧式により,トリップ履歴を効率的に収集する.なお本調査は,1年を通じて3ヶ月おきに4回実施することにより,都市間トリップ需要の季節変動とトリップ頻度の把握を行う. 本庁作法の有効性を明らかにするためには,従来手法との比較が必要となる.そこで,従来の純流動調査において収集されているトリップについての個票データと,Webによって収集した個票データをマッチングを試みる.そのためには,個人属性変数を設定する必要がある.両データそれぞれのトリップ特性を損なうことがないようにマッチングを行うためには,トリップ特性に対して強い影響を及ぼす個人属性変数を抽出する必要がある.そこで,決定木分析によるデータマイニングによって適切な個人属性変数を設定し,両データをマッチングしたデータベースを構築する. さらに本研究では,近年急速に注目されている携帯電話によるビッグデータとの統合利用によって,既存の純流動調査データの精度にどの程度迫ることができるかを検討する.この検討には,都市間でトリップを行う旅行者について,携帯電話のGPSビッグデータを入手することにより行う.平成28年度は,昨年度4回にわたってWeb調査結果について,データ集計とモデル構築を行った.また,携帯電話ビッグデータを入手して,両者の比較を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は,昨年度調査実績に基づいて,主にWeb調査データのトリップ頻度の季節変動,ならびにOD分布の季節変動,およびにモバイル空間統計による平休日のOD分布とWeb調査データから得られるOD分布について比較分析を行った.トリップ頻度に関しては,有意な季節差が見られることが明らかとなった.トリップ頻度が3ヶ月に1回以下,あるいは3ヶ月間で0回の旅行者の個人属性は有意差が見られないことが明らかとなった.その一方で,トリップ頻度が4回/3ヶ月以上の高頻度旅行者の個人属性は,トリップ頻度が3ヶ月に1回以下の旅行者と比較してきわめて異なっていることが明らかとなった. 鉄道ならびに航空利用者の季節変動を把握するため推定した交通機関分担モデルからも,有意な季節変動が見られた.その一方で,交通機関分担メカニズムについて,秋時点の感染旅客准流動調査の結果との比較を行ったところ,顕著な違いは見られなかった.すなわちこれらの交通機関に関しては,Web調査によって従来の幹線旅客純流動調査が代替できる可能性が示唆された.モバイル空間統計データと従来の幹線旅客純流動調査ーデータとの比較に関しては,前者の取得日数を1日に限定したところ,0トリップとなるODが多く確認され,データの相違が大きなことが明らかとなった.これは,純流動調査は純粋な標本抽出調査ではなく,拡大係数が付されているためと考えられる.両調査結果の整合性を高めるためには,純流動調査の取得期間を長くするなどの工夫が必要と考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
H29年度は,引き続きモバイル空間統計データとWeb調査データとの相違点について分析を行う.なお,昨年度の分析結果からデータ取得期間が短い可能性が明らかとなったため,追加データの取得についても検討する.また当初予定した研究課題のうち,傾向スコアに基づくデータマッチング法についても,旅行頻度に影響を及ぼす要因を明らかにした決定木分析の結果を参照しながら,両データを統合利用するためのマッチング手法の開発を進める.以上の結果に基づいて,研究成果を公表するためのワンデーセミナーの実施を計画する.
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