2017年度は,これまでの研究成果に基づいて1000kN級の実物大性能可変ダンパーを用いた実験の予備解析の実施と実験計画の立案を行った.具体的には性能可変ダンパーの変位検知部の詳細検討を実施し,これと可変オリフィスが設計通り連携することを確認する部分実験について予備解析と詳細な部品製作図,実験装置の組み付け図作図を含む実験計画の作成まで完了した.この性能可変ダンパーについて,実物大の詳細設計をまとめ,コスト検討を実施して実用化に当たっての一つの重要な側面であるコスト面の課題を整理した. また最終年度に当たってこれまでの研究成果をまとめ,国際会議への論文投稿および発表,英文国際専門誌への論文投稿を実施した.具体的には同調粘性マスダンパー制振システムの高度実用化に有用なダンパー諸元のばらつきに対する性能変動について解析的・実験的な成果をまとめた論文を第7回構造工学実験国際会議(7AESE)に投稿・発表した.この論文を更に発展させ審査付き論文とし,日本建築学会技術報告集に投稿・掲載済みである(本報告書10.研究発表[雑誌論文]). 本研究課題に関する国際連携の状況であるが,米国メリーランド大学のBrian Phillips助教と主としてメール,Skypeを用いた意見交換を実施し,関連研究論文の投稿に結びついている他,中国では同済大学,清華大学,広州大学,湖南大学などの土木工学分野で有力な大学からの招聘を受けダイナミック・マスの実用研究に関して積極的な情報交換を実施し,研究成果の国際的な広報に努めた.
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