研究課題/領域番号 |
15H04082
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中込 忠男 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), 招聘研究員 (60111671)
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研究分担者 |
金子 洋文 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (30426580)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 現場溶接接合形式 / 現場ノンスカラップ / フィレット残しスカラップ / 鋼板挿入ノンスカラップ / 塑性変形能力 / 破壊性状 / 破壊力学 / SN490B鋼 |
研究実績の概要 |
本研究の実大柱梁接合部破壊実験において破壊起点になりうる箇所の素材試験をおこなった。破壊起点となり得る箇所の機械的性質を把握する事で、実大実験で得られた結果である破壊原因や破壊性状についてより詳しく調査する事が出来た。本実験において破壊起点となり得るのは、母材(スカラップ部、最小断面部)、溶接部(DEPO)、溶接熱影響部(HAZ)等が挙げられる。従って、この部位の素材試験をおこなった。素材試験は、引張試験、シャルピー衝撃試験、ビッカース硬さ試験をおこなった。また、3次元弾塑性有限要素法解析に使用する素材データ収集も同時におこなった。 実大実験結果を基にそれぞれの工法が柱梁溶接接合部周辺の応力、歪にどのような影響を与えているかについて3次元有限要素法解析をおこなった。解析には、汎用非線形構造解析プログラムANSYS Ver.9.0を使用した。解析モデルは3次元モデルとし対称性を考慮し、梁フランジ幅方向に関して1/2モデルとした。梁部材の全塑性耐力時における変形量cδpを1cδpごとに10cδpまで強制変位を梁フランジ端に与え解析をおこなう。解析と実験の荷重―変形関係を比較検討し整合性を確認した。また、実験で測定した歪ゲージの値と解析による歪の値の比較検討も併せておこなった。実験時は歪ゲージの貼付は有限であるが、有限要素法解析では歪及び応力について詳細に調査することが出来た。また、実験時には測定する事が出来ない局所の歪・応力を算出する事が出来る為、より詳しく調査できた。3次元弾塑性有限要素法解析をおこなって接合部ディテールごとの歪及び応力挙動を把握すると共に、破壊力学的検討を加えることによって破壊の原因を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一昨年度は、実大ト形破壊実験を行った。その結果、工夫したディテールを用いた試験体は従来のディテールに比べて十分な変形能力があることが示された。データ整理を行った結果、工夫したディテールを用いた試験体は応力集中や歪が小さいことが確認された。 昨年度は、素材実験により供試鋼材の機械的性質を把握することで、実大試験体の破壊原因などについて検討を行った。また実大実験結果を基に、実験で用いた工法が柱梁溶接接合部周辺の応力、歪にどのような影響を与えるかについて解析を行った。破壊パラメータに基づいて破壊がおこることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
破壊靱性試験により破壊部分となる箇所の破壊靱性値を求める。次に解析により実大試験体の破壊靱性値を算出し、破壊力学的検討により脆性破壊が発生するときの荷重や変形を推定する。
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