研究課題/領域番号 |
15H04086
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊藤 一秀 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (20329220)
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研究分担者 |
Lim Eunsu 東洋大学, 理工学部, 准教授 (50614624)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 室内環境 / 数値人体モデル / 数値気道モデル / 生理的薬物動態モデル / 経気道暴露 / 計算流体力学 |
研究実績の概要 |
本研究は室内空気質の不均一濃度分布ならびに人体経気道暴露濃度予測を基に,居住者の健康影響評価を行うための高精度かつ汎用的な数値予測モデルの構築を目指すもので,平成28年度は以下の研究課題を推進した. 1. ガス状汚染物質を対象とした濃度場解析手法の開発:室内環境を対象としたガス状汚染物質の濃度分布解析手法,特にEuler-Euler系の解析手法を整理した.気道モデルを対象とした解析では,気道内壁面境界条件としてPartition coefficientを用いた吸着モデルを開発した. 2. エアロゾル粒子を対象とした濃度場解析手法の開発:室内環境を対象としたエアロゾル粒子の濃度分布解析手法,特に流れ場を連続体として解き,粒子を分散系で解析するEuler-Lagrange系の解析手法を整理した.PIVによる気道内流れ場測定データで予測精度を検証した乱流モデルと整合する数値気道モデル内のLagrange粒子追跡モデルの整理も行い,乱流泳動モデル,熱泳動モデルの他,粒子衝突モデル,気道内壁面沈着モデルの組み込みを行った. 3. 数値人体モデルと数値気道モデルの統合手法の開発:人体の詳細幾何形状を再現したCFD解析用の数値人体モデルと数値気道モデルの統合手法として,完全組み込み型(数値人体モデル内部に数値気道モデルの幾何形状を完全に再現して一体の解析モデルとしたもの)と外部連成型(External Coupling手法を用いて,鼻腔・口腔開口面での平均風速・乱流統計量・汚染物質濃度分布データをFlux保存を保証した上で数値解析上共有させる手法)の2種類を開発した. 4. 経気道暴露濃度予測ための各種数理モデル開発:気道内細胞組織に沈着したガス状汚染物質の体内吸収モデルとしてPBPKモデルに着目し,細胞内への吸収・転位機構モデルを開発し,文献データよりモデル定数同定を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
総合的には当初計画に従って着実に研究を進めていると判断している. 当初,研究3年目の課題として計画していた生理的薬物動態(PBPK)モデルの開発と数値人体モデルへの組み込みに関して,プロトタイプモデルの開発と予備解析まで完了しており,この点では当初計画以上の成果を上げている. エアロゾル粒子を対象とした濃度場解析手法は,モデル開発とそのコーディングまで完了したものの,解析事例の蓄積という点で,多少計画より遅れがある.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に従い,以下の課題を推進する. 5. 室内空気質分布解析モデルの整理と汎用CFDコードへの組み込み 6. 経気道暴露濃度予測ための各種数理モデル開発 7. 人体熱モデルとの統合可能性検討 8. 室内環境解析への適用・WEB等による情報発信
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