研究課題
昨年度(平成29年度)の研究実績報告書でも記載したが、平成29年度は特別養護老人ホームSにおいて要介護高齢者(被験者数11名(脳血流11名、表情6名))を調査対象に視覚刺激をコントロールし脳血流と表情の測定を行った。その結果、視覚刺激の変化に対して脳血流と表情の両者に統計的に優位に差異が認められるという非常に重要な知見を得たが、被験者数が少数のためその差異が被験者の個体差から生じるものなのか、高齢者一般が示す普遍性のある変化なのか判定することは困難であった。そこで平成30年度については、被験者数を増やすため平成29年度に行った調査を再度特別養護老人ホームSで実施し被験者数を増やす方向で研究活動を展開し、新たに13名の要介護高齢者(脳血流13名、表情12名)を対象に脳血流と表情の測定を行った。また、平成29年度に得られた知見が高齢者特有のものか健常者にも当てはまるかを検討するため、健常者(大学生及び大学院生)26名に対しても要介護高齢者と同様の実験を大学内の実験室環境で行った。要介護高齢者のデータを解析した結果、脳血流の変化については動画視聴が初めての被験者については平成29年度に得られた知見と同様に異なる食事提供プロセスの差異により眼窩前頭皮質に統計的に有意な脳血流の差異が認められたが、表情に関しては統計的に優位な「happiness」の表情変化は現れなかった。また、健常者につては高齢者の場合には反応を示さない微細な変化でも脳血流や表情の変化が大きく、現時点で要介護高齢者の被験者負担を軽減するため、健常者で実験を代替することは困難であることが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Neuroscience and brain imaging
巻: 2(1) ページ: 1-13