研究課題/領域番号 |
15H04101
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
谷口 尚弘 北海道科学大学, 工学部, 教授 (80337013)
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研究分担者 |
安武 敦子 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (60366432)
大月 敏雄 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80282953)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 住宅街 / 縮退プロセス / 変容過程 / 産炭地域 / 人口減少 / 都市機能 / 住環境 / 鉱山住宅地 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、前年度に引き続き、沖縄県那覇市及び同西表島炭鉱、北海道夕張市・同羽幌町・豊富町・稚内市・泊村、熊本県天草炭鉱、秋田県秋田市及び小坂鉱山・尾去沢鉱山、岩手県松尾鉱山、宮城県細倉鉱山、栃木県足尾鉱山、埼玉県飯能市(日豊鉱業)、兵庫県生野鉱山・同明延鉱山、愛媛県別子銅山等にて、多くの資料収集及びインフォーマントと接触できインタビュー調査も実施した。 これらからいくつか新たなる展開へ進んでいる地域もあることが判明した。たとえば、①福岡県宮若市は炭鉱住宅街の跡地には自然エネルギー利活用政策に対応した太陽光発電装置が設置されており、炭鉱住宅街であった大きな土地がエネルギー収集地として活用され、国策から国策の変化がみられる。②兵庫県朝来市にある生野鉱山地域では「生野鉱山と鉱山まちの文化的景観」が平成26 年に国の重要文化財景観の選定を受けているが、その地域内にある旧生野鉱山職員宿舎は建設当初(最古は明治期建設)の鉱山住宅が改修され宿泊所としての活用を検討されている。③福岡県中間市は大正鉱業により石炭が採炭されていた地域であるとともに八幡製鉄所遠賀水源地を保有するなど筑豊炭田の一角をなした地域で、現在の炭鉱住宅街は衰退しているが、地元の北九州市立大学と中間市が協働で地域フットパスのコースを作成し、ボタ山を臨むコース等炭鉱住宅街をめぐることができるように文化の継承を実行している。④埼玉県飯能市には亜炭・泥炭を採掘しているT鉱業(株)があるが、一部の坑道が維持されている。T家は明治38 年に鉱山業を始めてから現在も事業存続してるが、それは時代によって使用目的を変えることにより成立されており、地域に経済創出拠点が残ることの重要性を認識させられる。 ほか、各地域の変遷について分析しており、それらの総括はH29年度に実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要な炭鉱生産地域の調査は実施した。石炭産業以外の鉱山地域も視野にいれ進めており予定のスケジュール以上に順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、札幌市の手稲鉱山及び豊羽鉱山、長崎県崎戸、宇部、韓国江原道の調査・資料アーカイブを予定している。 最終年度のため、これまでの取りまとめ(産炭地域・住宅街の盛衰パターンの分析)から、変容メカニズムの解明をおこなう。また、今後縮小する住宅街への縮退シナリオの検討や新たな住宅街の構成や住宅地計画方法を提案するとともに、報告書等の作成を実施する。
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