研究課題/領域番号 |
15H04111
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
砂本 文彦 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (70299379)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 朝鮮 / 貸家 / 都市 / 日本統治下 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、国内における文献調査では、国立国会図書館などをはじめ、愛知県立図書館など地方図書館に所蔵される関連資料の文献調査を実施してきた。朝鮮半島に渡航した地主層、家主層の出身地における活動、つまり原資となっていたであろう内地在住時代の経済活動などについて、断片的な各種資料を収集し、各々の照合作業を行った。収集・複写した資料については、その文字入力、あるいはスキャニング入力を、研究補助者を雇用して行った。また、成果公表に備えて、日本ならびに韓国での研究状況を確認するための二次資料の購入を行った。 現地調査では釜山広域市の調査を実施した。調査に当たっては、日本統治時代、戦後の住宅地図等を現在の地図と照合して現地確認することで、二次調査にふさわしい典型的な地区を選定した。今後は悉皆的な記録調査を行う予定である。また、来日中だったソウル市立大学所属の韓国人研究者と京都などで研究打ち合わせを行い、今後の研究実施に向けた助言を得つつ、資料集作成に向けての作業依頼も行った。 依頼した作業は、昨年度から継続しているもので、具体的には京城の経年的な地番入り地図情報と、地番・土地所有者情報を土地台帳とを照らし合わせる内容である。これにより複数土地所有者をソートし、土地利用状況を把握して、貸家の経営状況をミクロに分析する端緒としたいと考えているが、作業量が膨大であるため、年度をまたいでいる。 以上より、京城などの大都市を中心とした、住宅事情の困窮状況と貸家組合を中心とした施策について子細を把握したうえで、個別の貸家経営者情報の分析を進めた。また、貸家経営者に関する会社情報についても、資料収集を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、予定していた資料のハードコピーや文献のデジタル撮影が順調に進んでいる。また現地調査なども当初の計画通りに進んでいる。とりわけ、朝鮮半島に渡航した日本人に関する情報を、日本全国に分散して所蔵されている関連資料を調査し、照合することで、これまで明らかになっていなかった地主、家主らの活動が明らかになりつつある。 また、調査作業の実施に当たっては、複数名を雇用して資料のリスト化やデジタル化を精力的に進めたことから、資料のコンパクト化、ならびにデータベース化がすすみつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年5月にソウル市立大学にて開催される日中韓国際シンポジウムにパネラー参加予定であり、その席で各国研究者と研究情報を交換することで、研究調査の方向性を修正していく。そして、韓国ならびに日本国内にて、資料収集をおこない、資料のハードコピー、あるいはデジタル撮影を行う。また、ソウル、釜山、仁川などの韓国主要都市で現地調査と関連文書の収集を進める。その際、ソウル市立大学の研究者と研究打ち合わせを行い、情報収集や研究作業への協力を求めたい。資料のリスト化やデジタル化についてもさらに進め、成果公表にむけた分析や論文執筆を効率的に進める。
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