研究実績の概要 |
本研究で提案する高精度原子間ポテンシャルは,多数の第一原理計算結果をもとに,多種多様な基底関数により結晶構造を表現した上で,LASSO回帰によりエネルギーと基底関数の関係を推定するものである.この原子間ポテンシャル構築技術の確立を目指し,本研究では以下の3つを実施する.①結晶構造表現のための基底関数を考察,および基底関数算出のためのプログラム開発を行う.②エネルギーと基底関数の関係を表す線形モデルの一般化を行い,二種類以上の元素を含む化合物に適用可能な線形モデルを導入する.同時に,線形モデルの一般化に対応したプログラムの開発を行う.③導入した基底関数や線形モデル,開発したプログラムを用いて,具体的な材料への適用を行う. 平成27年度は,原子間ポテンシャル構築に適した新たな基底関数の考察を行った.コサイン型やガウス型以外の基底関数を導入することにより,多種多様な基底関数を用いた柔軟性の高いポテンシャル構築を行った.具体的には,多項式型,指数関数型,メキシカンハット型,モルレー型などを導入した.また,新たに導入した基底関数およびそれらに対応したエネルギーや原子間力,応力算出のためのプログラム開発を行った. また, Li, Al, Ca, K, Znのような単純金属,Ti, V, Pd, Cuなどの遷移金属,Fe, Niなどの磁性を持つ遷移金属を対象とし,原子間ポテンシャルの構築を行った.遷移金属や磁性元素,半導体の原子間ポテンシャル構築においては,多体相互作用や磁気的相互作用を考える必要があるため,基底関数や線形モデルの検討を十分に行い,必要に応じて基底関数や線形モデルを修正した.その結果,従来の物理的概念に基づいた原子間ポテンシャルとの関係性を導き出すことができた.
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