研究課題
本研究の目的は、申請者が見出した“基板のクランプ効果により可逆応答する配向スイッチング機構”を用いて、巨大圧電特性を有する膜を創成することである。変位を阻害するため、否定的に捉えられてきた圧電体膜基板の“クランプ効果”を“配向をスイッチバックさせるための推進機構”として積極活用する。従来、圧電特性発現には電界に対しての結晶相の不安定性を利用した“相境界組成”が不可欠とされてきたが、これを用いることなく大きな圧電特性の発現を目指す。さらに、これまで“相境界組成”は鉛元素なしでは作製できないと考えられており、圧電体の非鉛化は困難とされてきたが、新機構の導入により非鉛圧電体膜を実現する。本年度の成果は以下である。1) (100)/(001)配向において、電界印加によって分極の方向をそろえる分極処理時に(001)配向が大きく変化することを確認した。この変化によって、応力とドメイン構造変化が考えられる。2) 電界下で大きなドメインのスイッチングが起こっていることが、電界下のXRD観察から明らかになった。3) (100)/(001)配向に加えて、ドメインのスイッチングが期待できる(110)/(101)配向についても、Si基板上にPdO/Pdのバッファーを用いて再現性良く作製できるようになった。
2: おおむね順調に進展している
MOCVD法によるPb(Zr, Ti)O3膜の作製は順調に進んでいる。また非鉛圧電体の作製にも着手できた。さらに評価は電界下も含めて当初の予定通り進んでいる。
今後は、非鉛圧電体である(Bi1/2K1/2)TiO3膜も含めて検討を行う。物質系に依存しない圧電性向上方法を探索する予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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