研究課題
本研究の目的は、研究代表者が見出した“基板のクランプ効果により可逆応答する配向スイッチング機構”を用いて、巨大圧電特性を有する膜を創成することである。変位を阻害するため、否定的に捉えられてきた圧電体膜基板の“クランプ効果”を“配向をスイッチバックさせるための推進機構”として積極活用する。従来、圧電特性発現には電界に対しての結晶相の不安定性を利用した“相境界組成”が不可欠とされてきたが、これを用いることなく大きな圧電特性の発現を目指す。 さらに、これまで“相境界組成”は鉛元素なしでは作製できないと考えられており、圧電体の非鉛化は困難とされてきたが、新機構の導入により非鉛圧電体膜を実現する。本年度は以下の成果を得た。1) 製膜時にPb(Zr,Ti)O3膜に引っ張り歪が存在する場合は、最初に面内に分極したドメインが形成され、その後に上向きの分極が形成されるため、この2つの構造が組み合わさった非常に複雑なドメイン構造になりやすい。この構造が大きなドメインスイッチングと圧電性を生む可能性があることがあきらかになった。2) 非鉛圧電体として(Bi1/2K1/2)TiO3および(Bi1/2Na1/2)TiO3-BatiO3膜の作製を行い、正方晶の膜が作製できることを明らかにした。特に(Bi1/2Na1/2)TiO3-BatiO3膜では、分極が面何と面外に向いたドメインが共存した膜の作製の可能性が示唆された。この成果は、非鉛圧電体膜においても、ドメインスイッチングによる大きな圧電性発現を示唆している。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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