研究課題
平成29年度は自発的に超格子構造が生成したコバルト酸ランタンストロンチウム薄膜の熱電特性におよぼす超格子の周期の関係について重点的に管球を行った。その結果、成膜時に磁場を印加していない、自発的な超格子構造の生成が生成していない薄膜と比べて、成膜時に磁場を印加して20nmの超格子周期を有する薄膜ではゼーベック係数が向上し、周期10nmの薄膜ではさらにゼーベック係数が高くなることが明らかになった。これは、超格子構造の周期を小さくしていくことで2次元電子ガス構造に近づくことを示唆する。一方、電気伝導度は超格子構造の周期に対して依存しなかった。そこで、作製した自発的に超格子構造が生成している薄膜を成膜後に550℃で20分間種々の酸素圧力下で時効したところ、酸素圧力の増加とともに電気伝導度が増加することが明らかになった。これは作製した薄膜がp-型の特性を有していることを示す。ゼーベック係数と電気伝導度の温度依存性測定から、ゼーベック係数は温度に対してほとんど一定であるのに対して、電気伝導度はほぼ直線的に増加することが明らかになった。これらの結果、無次元性能指数Zの値は温度とともに単調に増加し、860KにおいてZTは0.0001となった。自発的に超格子構造が生成している薄膜の断面のTEM観察から、ペロブスカイト構造におけるA/B比の値は三角関数のように周期的に変化し、特にコバルトの存在量が大きく膜厚方向に沿って変調していることが明らかになった。このように、自発的に生成した超格子構造を有する薄膜の熱電特性と超格子周期との関係を明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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