研究課題/領域番号 |
15H04130
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所 |
研究代表者 |
尾身 博雄 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主任研究員 (50257218)
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研究分担者 |
清水 薫 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主幹研究員 (50426607)
俵 毅彦 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主任研究員 (40393798)
齊藤 志郎 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 特別研究員 (90393777)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エルビウム / イットリウムシリケイト / 結晶成長 |
研究実績の概要 |
当該年度は、1、Erの6種類の同位体の中でも唯一核スピンを持つ167Erだけを添加したY2SiO5(YSO)単結晶のインゴットをチョコラルスキー法により育成した。 Cz成長ではホスト結晶の原材料として高純度Y, Si、添加材として金属167Erを用い、良質なインゴットが得られるまでCz成長を数回繰り返した。その結果として得られた良質なYSOインゴットから、量子光学実験用の最高品質の単結晶を得るために、先ずインゴットを多数の円柱状に切り分け、円柱上の様々な領域に対してX線回折測定を行うことによりX線回折ピークの半値幅が最も狭くなる部位を選定した。さらに、その部位を所定の方位に対して高精度に加工および研磨を行うことにより、量子光学実験用の単結晶を作製した。2、この167Er添加YSO単結晶に実際に167Erが優位に含有していることを2次イオン質量分析(SIMS)により確認した。3、今回添加した167Erと同量のErが添加された市販のYSO単結晶と今回作製した167Er-YSO単結晶をラマン分光法により評価した。167Er-YSO単結晶から得られたラマンスペクトルには、市販のEr-YSOよりもシャープなピークが観測されており、167Er-YSO単結晶が市販Er-YSOよりも良質であることが分かった。④同様に、167Er-YSO単結晶と市販Er-YSO単結晶のEr3+イオンからの発光を室温でフォトルミネッセンス法により測定した。その結果、いずれの試料から波長が1528nmの発光が観測され、ErがYSOの結晶構造のY1サイトを占有していることが分かった。また、167Er-YSOのPLピークの半値幅は市販Er-YSOのそれよりも狭く、Er発光の長寿命化に期待がもてる結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において重要な標準サンプルとなる同位体167Er添加YSO単結晶の作製に成功した。また、次年度にむけてノンスピンバス結晶の成長装置の更改が済んだ。
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今後の研究の推進方策 |
得られた167Er添加YSO単結晶を用い、極低温において顕微フォトルミネッセンス測定によりエルビウムの発光寿命を評価する。その結果を結晶成長にフィードバックすることによりノンスピンバス結晶の成長条件の最適化を図る。それと同時に、発光スペクトルの解析、作製した単結晶を用い超伝導磁束回路による量子ビット操作の実験を進める。
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