研究課題/領域番号 |
15H04131
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 義倫 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30374995)
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研究分担者 |
田路 和幸 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (10175474)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 垂直配向カーボンナノチューブ / 高結晶 / 脱フッ素 / 表面制御改質 / 電気化学 |
研究実績の概要 |
本研究では、高結晶の垂直配向カーボンナノチューブ(vertical aligned carbon nanotube: VACNT)を作製して、VACNTをフッ素化した後、フッ素化VACNTと反応活性ガスを気相反応させ、反応温度を制御しながら脱フッ素化を行い、CNTの垂直配置、結晶構造を維持したまま表面にプラスの極性基、マイナスの極性基となる官能基を修飾させてCNT表面を改質制御することが目的である。本年度は、VACNTを調製し、フッ素化VACNT、窒素含有VACNTを合成した。まず、VACNTは化学蒸着法により合成した。電子ビーム法で厚さ5 nmの鉄ナノ粒子をコーティングしたSiウェハ(20×20 mm)を石英チューブ内に設置し、5%のC2H2ガスを常圧フローしながら、温度650℃、ガス流量500 sccm、反応時間10分で反応させ、長さ300 μm、内径 8 nm、外径 10 nmのVACNTを合成した。フッ素化VACNTは管状炉を用いて、N2雰囲気下、250℃で水分を取り除いた後に、20%フッ素含有N2ガスを25 sccmでフローしながら250℃、30分間処理した。このフッ素化では、フッ素化温度を室温~250℃(50℃毎)、反応時間を4時間の条件で行った。その結果、温度が高く、時間がないと基板のSi基板がフッ素により消滅してしまうこと、CNTの構造が乱れることから、最適フッ素化条件は250℃、30分間であることがわかった。得られたフッ素化VACNTを管状炉に入れ、N2雰囲気下、120℃で水分を取り除いた後に、1%NH3含有窒素ガスを25 sccmでフローしながら、400℃、30分処理した。得られた窒素含有VACNTはX線光電子分光測定(XPS)により、窒素が炭素骨格に骨格置換型として含有していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プラス極性基である骨格窒素置換型の垂直配向カーボンナノチューブを計画通りに合成できたことは、本研究を推進するにあたり最も重要なことであるため。 また、購入した電気化学評価装置により、電気二重層キャパシタ特性評価、酸素還元反応評価の予備測定が実施できたことにより、来年度以降の電気化学測定による評価がスムーズに進む確証が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
フッ素化VACNTを管状炉に入れ、N2雰囲気下、120℃で水分を取り除いた後に、1%水蒸気含有N2ガスを25 sccmでフローしながら、所定の温度(室温~600℃)、所定の時間(1~120 min)処理し、マイナス極性であるカルボキシル基を修飾させたVACNTを合成する。 さらに、電気二重層キャパシタ(electric double layered capacitor: EDLC)の両電極を①アミノ化VACNT、②カルボキシル化VACNT、とした場合の2通りのEDLC特性を調べる。以下にEDLCセルの作製・評価を示す。まず化学修飾VACNTを10×10 mmのサイズに切り出したものを、グラファイト系導電性接着剤でコレクタ電極(Al)に貼り、固定する。この電極を2枚用意し、電極間を絶縁性セパレーターで挟み、一定の荷重がかかるように電極間をクリップする。このセルを有機系電解質のテトラフルオロホウ酸テトラメチルアンモニウム/炭酸プロピレンを浸み込ませ、水分が入らないようにシールする。上記の工程はすべてN2雰囲気のドライボックス中で行う。EDLC特性はサイクリックボルタモメトリー(cyclic voltammetry: CV)により、様々な走査電位速度に対して静電容量、エネルギー密度、出力密度、および各電位での電極官能基に関する化学反応の有無を調べる。またセルを所定の電圧(2.5~3.0 V)まで充電した後に一定電流で放電させる定電流放電法により、様々な放電電流に対して、IRドロップ、静電容量、エネルギー密度、出力密度を求め、CV法によるデータと併せて特性を評価する。さらに周波数応答型インピーダンスから得られるCole-Coleプロットから、セルの等価直列抵抗、電荷移動抵抗、拡散抵抗を見積もる。充放電サイクル特性を行い、セルの寿命特性を調べ、サイクル試験後のEDLC電極の状態を構造・化学修飾度評価し、EDLC電極設計にフィードバックする。比較のため、活性炭YP17を材料とした電極のELDC特性を評価する。
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