研究課題
本研究では,銅ナノ粒子を用いたレーザープロセッシングによって,フレキシブル透明ポリマー基板上へも高導電性微細パターンを自在に形成することが可能な手法を開拓することを目的とした。本年度は,酸化銅ナノロッドを前駆体として用いることによって,導電性微細パターン形成とセンサーデバイス応用に関する検討を行った。酸化グラフェン等のナノカーボン材料は,銅系微粒子の表面酸化構造の有効な還元剤として働くことから,酸化銅ナノロッド/酸化グラフェンハイブリッド膜へレーザー直接描画法を適用し,ポリエチレンテレフタレート(PET)等の透明フレキシブルポリマーフィルム上に,導電性微細パターンを形成した。それら導電性パターンによって,フレキシブルアンテナ型センサーを形成し,湿度センサーや誘電率の違いに感応する化学センサーとしての特性を,ベクトルネットワークアナライザー(VNA)を用いたリターンロススペクトルにおける共振周波数のシフトや信号強度の変化から検討した。酸化銅ナノロッド/酸化グラフェンハイブリッド前駆体膜からレーザー直接描画法で形成した銅/還元型酸化グラフェンハイブリッドによるアンテナは,3から6GHzのSHF(Super High Frequency)帯に特徴的な共振周波数を示した。VNAによるリターンロススペクトルの測定から種々溶媒への感応性を検討したところ,誘電率の低いトルエンでは,溶媒滴下前後でのリターンロスの変化が見られなかったのに対して,誘電率の高い溶媒(H2O, MeOH, EtOH)では,リターンロスの顕著な増加と共振周波数の低周波数側へのシフトが観測された。また,リターンロスおよび共振周波数シフトと溶媒の誘電率との良い相関が観測された。誘電率の高い水への感応性を利用して,アンテナ型の湿度センサーの作製と特性に関する検討を行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 10件、 査読あり 9件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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