研究実績の概要 |
S45C,S55Cなどの鋼材に対して接合実験を行い、摩擦圧力、アップセット圧力、摩擦時間、回転速度などの接合パラメータの最適化、冷却方法の最適化を試みた。制御方式としてはブレーキ式、摩擦時間の制御方法は時間制御とし、微細組織、硬度分布等の機械的特性によって継手の評価を行った。 当初は、液体CO2による冷却によって、界面近傍にまで十分に強ひずみ加工が施すことを検討していたが、印加圧力によって界面の温度を任意に制御でき、印加荷重を増大させることで、接合温度をA1点以下に制御できることを明らかとなり、液体CO2を用いない簡便な手法を確立することができた。 SCM420材に対してCCTを作成し、得られた継手組織を比較することで、オーステナイト域で加工を加えることによって、オーステナイトが安定化することを示した。また、種々の鉄鋼材料の強度の温度依存性を測定することにより、印加圧力によって接合温度を任意に決定することができるメカニズムについて明らかにした。 さらに、平成30年度に予定していた線形摩擦接合にも、予定を前倒ししてとりくみ、摩擦圧接の場合と同様に印加圧力によって界面の温度を任意に制御でき、印加荷重を増大させることで、接合温度をA1点以下に制御できることを明らかにした。また、β+α型チタン合金においても、βトランザス以下の温度で接合することで、従来のラメラ組織ではなく、等軸のα+β組織が得られることを明らかにした。これらの手法は、ツール寿命が問題となっている摩擦攪拌接合の問題を解決し、鋼材の種類に関係なく接合できる技術として、応用範囲が極めて広いと思われる。
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