研究課題
超低炭素社会・省資源社会実現のためクリーンエネルギー需要が高まっている中、熱(温度差)から電気への直接エネルギー変換を可能にする熱電変換現象に着目している。そのエネルギー変換効率は、ゼーベック係数S[V/K],抵抗率ρ[Ωm],熱伝導率κ[W/mK]の3つ物性値(熱電パラメータ)を用いた性能指数z=S2/(ρκ)[K-1]に、絶対温度T[K]を乗じた無次元性能指数zTを用いて見積もられている。現状では、zT~1程度,エネルギー変換効率は約10%であり、日本のエネルギー事情を考える上でzT向上の実証研究は特段の推進が求められている。zTを飛躍的に向上させるため熱電変換素子の構造を変える,つまり超格子やナノワイヤー構造などを採用し量子効果を取り入れ低次元状態密度を導入することで、飛躍的なゼーベック係数の向上が達成できるという理論的な指針が得られている。本研究では1次元ナノワイヤー形状のナノワイヤー熱電変換素子を用いて、量子効果導入の確証の1つである巨大ゼーベック効果の実証を進めた。本研究において、同一のナノワイヤー熱電変換素子から抵抗率,ホール係数,ゼーベック係数を決めることに世界で初めて成功した。また現在、低温領域の測定ならびに、ワイヤー直径100nm以下の1次元量子ナノワイヤー熱電変換素子のナノ加工を進めている。本研究によって、ナノ加工のレシピが完成したことで、内部インピーダンスの大きな1次元量子ナノワイヤー熱電変換素子への適応が可能となったことは大きな意味を持つ。これらの技術をもとに、現在、量子効果が可能なワイヤー直径を用いたゼーベック測定準備を進め、量子効果導入による巨大ゼーベック効果実証につなげていく。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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