研究課題/領域番号 |
15H04149
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
大村 孝仁 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 副拠点長 (40343884)
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研究分担者 |
井 誠一郎 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主幹研究員 (60435146)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Fe基合金 / 転位 / 粒界 / 結晶粒径 / ナノインデンテーション |
研究実績の概要 |
TEMその場変形・計測において、Fe基合金の測定を行った結果、炭素を含む微細組織が分散する場合にはひずみバーストが抑制されることを明らかにした。微細組織が転位運動の抵抗になることにより、転位の易動度を抑制することに加えて転位増殖を促進すると考えられ、結果として転位組織がプラナーになると考察した。ナノインデンテーション解析においては、Fe-Ni合金を用いた測定を行った結果、前年度に行ったFe-Si合金とは異なる挙動をしめした。すなわち、Fe-Si合金の場合は、ひずみバーストの臨界荷重であるPcとバースト量を表すdelta hとの関係において、Si量の増加とともにPcに対するdelta hの値が減少する傾向にあったが、Fe-Ni合金の場合はIF鋼と同様にdelta hの値が減少する傾向は見られなかった。過去の文献から、Fe-Si合金は脆性-延性遷移温度がIF鋼に対して高温側に移行することが示されていることからSi添加による脆化傾向があるのに対し、Fe-Ni合金は低温側に移行する傾向にあることから、き裂進展に対する挙動が両元素で異なっており、これと関係が深いと考察した。圧子直下に発生する最大せん断応力は、材料の理想強度レベルに達することが知られており、この応力レベルはき裂先端のそれに近い事が推測される。き裂先端の応力を緩和する機構において、塑性変形による緩和が容易であればあるほどき裂は進展しにくいため、delta hが小さいことは同一のPcに対してエネルギー解放率が引くことを意味し、応力緩和能が低いと理解される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度からH29年度に繰り越して実施した内容は、予定通りに実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
TEMその場変形技術については、観察技術の高度化も推進しつつある。転位運動と力学反応との関係付けを行うモデル化が今後の課題である。
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